震災瓦礫(がれき)を埋め立てた盛り土に多様な広葉樹を植え、津波に備える「森の防潮堤」プロジェクトが、2年目の春を見据えて着実に輪を広げている。 提唱者の横浜国立大学名誉教授で国際生態学センター長の宮脇昭氏は、「被災者の生活が凝縮され、有効な地球資源でもある瓦礫をいまだに遠い場所に運んで焼いているなんて下策中の下策。100年しかもたないコンクリートの防潮堤だけでなく、本物の森づくりを総合的な防災対策として今こそ進めてほしい」と呼び掛けている。 ■抵抗する環境省を説得 森の防潮堤は、宮脇氏が半世紀近く唱え、実践している土地本来の樹木による森づくりを、震災瓦礫を活用しながら東北の太平洋岸300キロメートルに渡って実現させようという壮大な構想。 「陸前高田の一本松」が象徴するように、日本の海岸林を代表するマツ林の多くは今回の津波で根こそぎ倒され、代わりに数少ないタブノキなどの常緑広葉樹の森