【読売新聞】
社会に流布する様々なウソの中でも、最も根強いパターンは「これこれは、誰それのせいだ」という形をとるものだろう。何か悪いこと、気に入らないことを、自分とは関係ない誰かに押しつける言説である。一般に陰謀論と言われている。 陰謀論には、容易に差別に結びつくというやっかいな性質がある。このため、ウソを本当と信じ込んでしまった人によって悲劇的な事態が起きることも稀ではない。 ではなぜ、陰謀論は根強く、広がりやすく、差別に結びつきやすいのか。一例として、「911同時多発テロは、米政府の自作自演だった」という陰謀論を見ていこう。 911陰謀論の基礎は2つの事実だけ 2001年9月11日、燃料満載の4機の旅客機がほぼ同時にハイジャックされた。これらの機体のうち3機はハイジャック犯の手によって、ニューヨークの世界貿易センタービルの北棟、南棟、ワシントンD.C.の米国防総省本庁舎に突入。世界貿易センタービル南
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