実際には、ほとんどごちゃごちゃに使われていますが、 本来「抽象」とは、「別々の事物の中から、それら全部に共通的な 要素を集めて、それらの本質を表す概念としてまとめたもの」の意味で、 現実の事物からそういう概念を生み出す行為を「抽象化」と言います。 「抽象する」というような表現も目にしますが(辞書に出てくることもある)、 これは日本語としてはおかしいです。 一方「捨象」は、事物を抽象化するために本質的では無い要素を捨て去ること、 で、結局は同じことを裏側から見ているのですが、 ただ、これ自体は「作業、過程」を表す言葉であって、「結果」を意味しません。 したがって、「捨象」は「抽象化」と対立する表裏一体の言葉です。 (「捨象」自体が行為を表すので、「捨象化」という言葉はありません) 一方、英語には、「抽象」と「捨象」を使い分ける表現はないようですが、 そのこと自体は、たぶん文化的な差異によるも