『改訂版 実例・差別表現』(ソフトバンク クリエイティブ刊)には、1960年代から現在に至るまでのさまざまなメディアに現れた部落差別、障害者差別、民族差別、性差別、宗教差別、職業差別などの実例がこれでもかと思われるほど集められている。 同書によれば、既存メディアの差別表現をめぐる歴史は次のようであったという。 《1960〜70年代は高度成長とマスメディアの勢力拡大という社会情勢の中で、(部落解放同盟などの)人権団体は差別の拡大、助長、再生産を恐れてメディアを厳しく糾弾したのである。その結果行政も支援対策を前進させ、メディアも自主規制を進め、一旦は沈静化した》 しかし、同書の著者で元小学館編集総務部長のジャーナリスト、堀田貢得氏(67)は「人権団体が今、いちばん恐れているのはインターネットだ」と話す。ネット時代の到来により、誰もが情報発信者になれるようになったことで、人権団体にとっては統制の