文化的に、“ポピュラー”音楽はしばしば一時的な熱狂や流行に左右される。そして辛口の評論家には取るに足らないものと一蹴されてしまう。だがロック、ポップといった現代音楽から派生した無数のサブ・ジャンルは、時代を代表するドキュメンタリー作品を生むことがある。その偉業を称えるため、ポップコーンを手に取り、灯りを暗くして、過去50年間に制作された25本の優れたドキュメンタリー作品を振り返ってみよう。 1.『ローリング・ストーンズ・イン・ギミー・シェルター(Gimme Shelter)』(1970年) 1969年12月にローリング・ストーンズがカリフォルニアのオルタモント・スピードウェイで開催したフリー・コンサートは、理想郷のような60年代の終焉を象徴していると言われている。同公演は盛況だった彼らのアメリカ・ツアーの最終日で、ファンにとっても喜ばしい一夜になるはずだった。 ところが、メイズルス兄弟がカ