§0.の結びでも触れましたが、1980年代は「光と陰の時代」であるという私の持説にのっとり、「光」と「陰」の2つにこの時代を区別しながら議論を進めていきたいと思います。まずはひとまず「光」について、そして1970年代からシームレスに繋がるトピックを。すなわち、ニュー・ウェイヴのムーヴメントに関してです。それでは参りましょう。 ニュー・ウェイヴの性質 1970年代編の最終回でも触れたトピックではありますが、改めてここから。ニュー・ウェイヴの発展です。 「新たな波」を意味するニュー・ウェイヴは、パンクによって旧来のロックが否定された後の「新世代のロック」として生を受けます。この成立過程の段階で、大いにニュー・ウェイヴの性格というのが読み取れるのです。 まず、多くのニュー・ウェイヴで積極的に取り入れられたのがシンセサイザー。この電子楽器は1970年代には高価で、一部のロック・レジェンドは早くから