カエルは幼生期も成体期も色素細胞で覆われているため、外部から内臓を観察することは容易でない。今回、系統保存している2種類のカエル色素細胞突然変異系統を交配して、色素細胞を欠損しているカエルの系統を作製し、透明カエル(ホワイト)と名付けた(図20)。このカエルは体壁が透明で、幼生期から成体期にいたるすべての段階で、内臓を外から透視できる。このような、内臓透視ができるカエルはきわめて稀で、新たな実験動物として利用価値が高いと考えられる。 図20:生きている成体で内臓を透視できる四足動物は、自然界でも実験動物としても、極めて稀である。 (a) 透明ガエルは体内の組織や器官の変化を発生の初期から老化段階まで、外部から詳細に観察できるので(図21、図22、図23)、内臓や骨に対する化学物質の影響を、簡便かつ低コストに評価でき、毒性の影響度を経時的に評価できる。また疾病(例えば癌)の発生や進行過程