環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が、ここにきて「漂流」の危機に瀕している。2015年10月19日に迫ったカナダの総選挙を控えるなか、ハーパー首相率いる与党保守党が支持率で野党にリードを許していて、TPP交渉での妥協を難しくしているのが、直接的な原因とされる。 2015年7月にハワイで開いた閣僚会合での合意見送りでは、ニュージーランドが乳製品の関税を巡って強硬な姿勢を崩さなかったのが大きな原因との報道が溢れたが、実は日本も含め、「自動車の原産地規制」問題が大きなが障害だったことが、ここにきて明らかになり、これにカナダが深くかかわっていることが事態を深刻にしている。 退任まで約1年半となったオバマ米大統領は、自らの政治的遺産(レガシー)としたいテーマの一つとしてTPPの大筋合意を目指してきた。交渉筋の間では、11月18、19日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議前後が合意のタイムリ