年末年始を映画館で過ごしたカップルやファミリーは多かっただろう。魅力的な作品が並ぶ中、片渕須直監督のアニメーション映画『この世界の片隅に』(公開中)が、12月31日(土)、1月1日(日)の興行で、約3万人を動員、約3700万円を上げ、映画動員ランキング(興行通信社調べ)で9位にランクインした。11月12日の封切り時は63館での上映だったが、1月4日までに116館に拡大。きょう7日より新たに58館増え、累計200館を超える予定だ。
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映画が終わり、館内が明るくなった時、私(松浦)は右隣で観ていた老婦人が暗くなったスクリーンを見つめたまま、拭いもせずにぽろぽろと涙を流し続けているのに気が付いた。左隣は、高校か大学かの姉妹らしき2人組みだったのだが、2人とも手にハンカチを持っていて、時折目元を押さえていた。 私はといえば、(とんでもない傑作をみた)とくらくらする頭を振っていた。あらかたの涙は鼻に流れ、ぐすぐず鼻をすすっていた。 現在ロードショー公開中のアニメーション映画「この世界の片隅に」(監督:片渕須直)である。 泣ける映画だが、泣けるだけの映画ではない。笑える映画だが笑えるだけの映画でもない。ホームドラマだがホームドラマというだけでもない。迫力の戦争映画だが、戦争一辺倒というわけでもない。 その全てだ。 地味と言えば地味な映画ではある。すずという18歳の絵を描くのが好きな女性が広島から呉に嫁ぎ、戦時下を生きる。その昭和
a͟e͟r͟o͟d͟y͟n͟a͟m͟i͟k͟ ͟/͟/͟ @aerodynamik_tw 「この世界の片隅に」の上映後、啜り泣きと拍手が響き、ゆっくりと照明が点いて皆が余韻の中言葉少なに席を立っていく中、後ろの席に座っていらした恐らく80代のご婦人が「私ね呉に住んでいたのよ、本当に呉にそっくりなの、あの頃の呉にそっくりなの」と隣の見知らぬ若者に語りかけていた。 2016-11-24 00:58:49 a͟e͟r͟o͟d͟y͟n͟a͟m͟i͟k͟ ͟/͟/͟ @aerodynamik_tw ご婦人はその事をどうしても直ぐに誰かに伝えたくて、見知らぬ隣の席の若者に語りかけたのだろう。「片渕監督の執念にも似た細密な時代考証」などという言葉にしてしまうと途端に魔法が消えてしまいそうな気がするが、何かを伝える、伝わるというのはきっとこういうことなのだ。 2016-11-24 01:08:02
大前提としていい作品だと思う。ヒットして、嬉しい。本当に良かった。ただ、ヒットするとは思わんかった。 この世界の片隅にがヒットするとわからなかった、公開規模を小さくした配給会社は無能とかいう声も聞くけどさ。似たようなアニメを観る自分からすれば、公開規模は妥当だって。ヒットするわけないもん。 これに近い観客層を持ってる作品として百日紅が上げられると思うけど、あれがどれだけコケたと思ってるのさ。あれも評価が高かったけど、全然客が入らなかった。この世界の片隅にを大絶賛してるオタクで、百日紅を観にいった人ってどんだけいるのよ?って感じだし。他にも似たような作品で大コケしたアニメ作品はたくさんある。 こういっちゃなんだけどさ、流行りのアニメが大好きなんて人はあんまりこういうのには手を出さないはずなんだよ。実際に監督の前作であるマイマイ新子だって客は入らなかったしさ。ただ、そんな人もこの作品だけは観に
(2016.11.24追記) (↓アニメージュのランキング1983~2015年まで全てまとめました。) prehyou2015.hatenablog.com (本文) 自分のツイッターのTLにこんなのが流れてきました。 https://twitter.com/HanSel_Ang/status/799220803552194560 9000近くRTされているのでご存じの方も多いかと思いますが、 「世紀末的美少年ベスト10」として「スター・タレント」「シンガー」「アニメ・マンガ」の3部門の美少年が羅列されています。 これ、おそらく「JUNE(ジュネ)」っていう古いの漫画と小説の雑誌の記事だと思います。(違うかも。) ボルテスVやライディーンの時期からして1978年(昭和53年)前後だと思われます。(もう少し後かもしれません) これ、面白いですよね。当時の文化風俗を知る貴重な資料だと思います。
物語の枠組みは、そんなに特異なものではない。昭和の初めに広島・江波で海苔養殖を営む家に生まれた主人公・すずが、昭和18年に呉へと嫁入りし、戦時下を生きていくというもの。NHK朝ドラであってもおかしくはない。アニメーションとしての絵柄も、原作の引き継いで、ほわっとしていてとがったところがない(原作も素晴らしいです。必読)。 この映画の凄みは、その絵柄で淡々と、しかし徹底的な調査と考証に基づいて、戦時下の広島から呉にかけての生活を、街並みから音から空気感までを含めて描写していくところにある。 冒頭の昭和8年、おつかいを言いつかった幼いすずが、広島・中島本町の船着き場で、壁に荷物を押しつけて背負うシーンで、もう私は画面から目を離せなくなってしまった。続いて描かれる中島本町の様子!——現在の平和公園があるあたり、原爆で跡形もなく消えた風景なのだ。 戦争をしているといっても、人は生活をやめるわけには
サザエさんではずっとフィルムカメラを使っているものだと思っていたのに、遂に商店街の写真屋さんが閉店する時代が到来 作品No.7520 こだわりの一枚 脚本:城山昇/演出:牛草健
『声優Premium[プレミアム]』(綜合図書) 昨今の声優ブームにはすさまじい勢いがあると思う。去年は『ラブライブ!』の女性声優陣が紅白に出場を果たし、その知名度は格段に上がった。本来は「中の人」と称され、裏方のイメージが強かった声優という職業が、今や表舞台に出ることが多くなり、「歌もダンスも演技もできるオールマイティのエンターテイナー」と化している。 こういった兆候はいつ頃あったのだろうか。そして、そのさきがけとなった声優たちは、当時何を思い、そして今の業界についてどう感じているのか。『声優Premium[プレミアム]』(綜合図書)は、90年代の女性声優ブームについて、当時人気を博し、今でも着実に活躍している女性声優8人にインタビューをし、ブームの光と影について語ってもらった声優ファンなら必読の書だ。 90年代に起こったブームにおいて、アイコン的存在だったのが、林原めぐみである。『新世
スタジオジブリが最新作品となる、丸紅新電力のタイアップCM「鳥獣戯画 出会い編」を製作しました。800年以上前の日本最古の漫画として知られる絵巻物「鳥獣人物戯画」を、絵柄をまったく変えずにアニメーション化したもの。3月15日から丸紅新電力の公式サイトでも公開されています。 動画が取得できませんでした 作品は32秒、「鳥獣人物戯画」で有名なウサギとカエルが雨の日にステキな出会いを果たす姿が描かれています。ウサギは雨に濡れた耳の毛とかしたり、カエルは葉っぱの傘を差し出したりと、絵巻物の2匹が魔法でそのまま動き出したかのように躍動。スタジオジブリが2013年に「かぐや姫の物語」で見せた、筆の一枚絵が動くようなアニメーションが楽しめます。ウサギがこんなに女の子らしくなっちゃうなんて……辻井伸行さんによるピアノの伴奏もステキです。 絵巻物の質感そのままに、ウサギやカエルたちが動き出す! ウサギのかわ
日頃は、本作のご愛顧をいただまして、誠にありがとうございます。 本日、本作に関係される方より、本作の内容についてよい印象をお受けになられていない旨のご指摘を頂戴しました。 関わられた方々への敬意をもって書いていたつもりでしたが、配慮の足りなさを深く反省するとともに、ノンフィクションというものの難しさを実感しております。 まずはここに、ご不快な思いをなされた御関係者様に、お詫びを申し上げたく存じます。 いつの日か不備の無い形で、皆様に御高覧いただける日が来ますよう、研鑽いたす所存ですが、まずはここに一旦の休載をご報告させていただきます。 ここまでのご愛読、感謝いたします。 ありがとうございました。 また、いつの日か。
イランでいま、日本のテレビアニメ『アルスラーン戦記』が若者たちのあいだでひそかな人気となっている。田中芳樹氏原作のファンタジー小説をもとにした作品で、舞台は古代イランを想定したパルス王国。敗軍の将となり、国を負われた14才の無力な王太子アルスラーンが、仲間とともに数々の死地を乗り越え、敵国ルシタニアによって陥落した王都エクバターナの奪還を目指す壮大な物語だ。土地、人名、その他の多くの用語にイランの言葉であるペルシャ語が盛り込まれ、いにしえの英雄叙事詩を彷彿とさせる。 『アルスラーン戦記』25話すべてがペルシャ語字幕付きでアップロードされているイランのアニメ動画サイト。ダウンロード自体は無料だが、1話をダウンロードするのに何時間もかかる上、データ通信量を消費するため、ユーザーはコメント欄をよく読み、面白いかどうかを見極めた上でダウンロードに着手する。 ◆描かれることのない古代史 日本のアニメ
By Chris Isherwood YouTubeなどの動画配信サイトでは、時々英語やイタリア語、ポルトガル語などの字幕が入った日本アニメを見かけたりしますが、アニメに字幕をつけることを「ファンサブ(fansub)」と呼びます。これは著作権侵害に当たる違法行為なわけですが、これらが海外のアニメ文化を育み日本アニメが世界に進出する手助けにもなっていたことをForbesが明かしています。 How American Fans Pirated Japanese Cartoons Into Careers http://www.forbes.com/sites/laurenorsini/2015/06/24/how-american-fans-pirated-japanese-cartoons-into-careers/ 宮崎駿監督による長編アニメーション映画「千と千尋の神隠し」が2001年にアカ
現在放送中のアニメでいうと「ワンピース」、「トリコ」、「プリキュア」シリーズ、「デジモンクロスウォーズ」シリーズなどを制作しており、会社の歴史は50年以上という老舗のアニメーション制作会社が東映アニメーションです。歴史を積み重ねてきただけあって、これまでに制作したアニメの話数はトータルで1万話をオーバーするという、とてつもない数になっています。 「アニメ・ビジネス・フォーラム+2012」では、この東映アニメーションの常務取締役経営戦略本部副本部長、大山秀徳さんが「東映アニメーションの近未来戦略」というタイトルで講演を行いました。 これまでに東映アニメーションが手がけてきた代表的な作品たち。 大山秀徳(以下、大山): まずはアニメーション業界がどういう状況にあるかということからお話していきたいと思います。昨年の映画の国内興行収入トップ10、邦画洋画取り混ぜるとハリー・ポッター、パイレーツ・オ
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