今回は、システムの運用・保守をめぐる法律問題の最終回です。ここでは、システム障害が発生した場合にもっとも問題となる、免責条項の適用について解説します。免責条項は、約款や契約書に設けられておりますが、大きく分けて、以下の2つの規定の仕方があります。 ① 重過失の場合をのぞき免責されると規定されている場合 ② 免責される場合が限定されていない場合 そこで、今回は、それぞれの規定方法が採用された場合、どのような点が問題となるのか検討してみます。 1 重過失の場合をのぞき免責されると規定されている場合 まず、「重過失の場合をのぞき免責される」と規定されている場合について、検討してみます。前回紹介したジェイコム株誤発注事件(東京地裁平成21年12月4日判決)の契約においても、以下のように、「故意又は重過失が認められる場合を除き、これを賠償する責めに任じない。」という免責条項が用意されていました。