イスラム国のテロを報じるニュース報道番組にチャンネルを合わせれば、冒頭はパリの同時多発テロである。少々辟易している方もおられるかもしれないが、私は、熱心に見るようにしている。ただ、私は事件の個々の情報よりも、テロ報道のニュース全体に占める割合と報道姿勢に着目して見ている。テロの残虐さや悲惨さを強調するのは、当然であろう。しかし、テロには必ず原因と理由がある。それを無視して、恐怖と憎悪を煽る報道姿勢はいただけない。 先月31日、エジプト東部シナイ半島で起こったロシア旅客機墜落も、イスラム国関係のテロによるものと断定された。確か、死亡者は二百数十人だった筈だ。今回の倍近くの死亡者である。このテロによる死亡者を悼む行動は、どうなっているのだろうか。11月18日、時事通信が次のような記事を配信している。日本のメディアとしては、珍しい記事である。 「なぜパリばかり注目」=アラブ世界に違和感 ― 仏同