自動車は人間の足の拡張,ラジオは耳の拡張,テレビやカメラは目の拡張と言われています.同じような意味でコンピュータは脳の拡張であると言ってもよいでしょう.たとえば,電子辞書やWikipediaその他インターネット検索というのは脳の記憶の能力をはるかに越えて補ってくれています.それ自体はとてもすごいことですが,元々あった本や百科事典をコンピュータに載せただけとも言えますから,紙や印刷技術の発明のインパクトの強さにかすんでしまいます. 同様に,コンピュータの日本語は計算機と言いますが,高速で計算する機械の視点でみても,そろばんや手回し計算機という発明が既にあったわけですから,それが高速で正確になったというすごさ以上のものでもありません. 本当の意味で「コンピュータは脳の拡張」と言ってよいのは,コンピュータシミュレーションのことではないでしょうか.コンピュータシミュレーションというのは,実際に実験