【読売新聞】 コロナ禍に感染対策やワクチン接種をSNSで呼びかけたことで、ネット上で「金のために 煽 ( あお ) っている」などといわれのない 誹謗 ( ひぼう ) 中傷を受けた医師らが、発信者(投稿者)の責任を追及している。裁判
2023年5月8日から新型コロナは5類感染症になります。 しかし、当然ながら5月8日を境目として新型コロナという感染症そのものの性質が変わるわけではありません。 これから新型コロナはどのように変わっていくのでしょうか? 次々と変異株が出現してきた新型コロナウイルスこれまでに出現してきた変異株と日本における流行(doi: https://doi.org/10.1038/d41586-022-02154-4より) 新型コロナウイルスは当初の野生株から進化を遂げ、様々な変異株が出現しました。 これまでに日本でもアルファ株、デルタ株、などの変異株が主流となってきましたが、現在はオミクロン株の亜系統が1年以上主流であり続けています。 新型コロナの重症度は大幅に低下日本国内における新型コロナの致死率の推移(Our World in Dataより) 新型コロナの流行が始まって3年以上が経過しました。 流
3月13日からマスク着用については屋内・屋外にかかわらず個人の判断に委ねられることになります。 「ずっと外しっぱなし」「ずっと着けっぱなし」ではなく、場面や状況に応じて感染リスクを判断し、着ける・着けないを考えることが重要です。 マスク着用に際し、どういった点を考慮すべきかについて解説します。 3月13日からマスク着用は個人の判断に新型コロナの流行初期からマスクの着用については日本国内では義務ではなく、屋内での装着を「推奨」という位置づけでした。 これが明日からは「個人の判断に委ねる」ということになります。 私自身は、各自がそれぞれの場面における感染リスクを理解し、マスクを着けるべき場面、着けなくてもよい場面が適切に判断できるようになることが重要であると思いますので、こうした政府の方針はとても良いことかと思います。 ただし、全ての人が適切にマスクを着ける場面、外す場面を理解することは難しく
日本国内では2022年9月から接種が始まったオミクロン株対応ワクチンですが、接種から4ヶ月が経過し、有効性と安全性に関するデータが蓄積されてきました。 現時点におけるオミクロン株対応ワクチンの有効性・安全性に関するデータをご紹介します。 オミクロン株対応ワクチンとは? オミクロン株対応ワクチンの作用機序(フィンランド保健福祉研究所の資料より筆者作成) オミクロン株対応ワクチンは、野生株とオミクロン株の両方のスパイク蛋白の設計図を持ったmRNAを接種することで、野生株とオミクロン株のそれぞれの鍵に対して免疫を作るワクチンです。 令和5年1月現在、野生株とオミクロン株BA.1の2価ワクチン、そして野生株とオミクロン株BA.5に対応した2価ワクチンが接種可能となっています。 これらは、どちらもオミクロン株のスパイク蛋白を作り出すワクチンですが、BA.1対応ワクチンはBA.1というオミクロン株の亜
10月31日以降、日本は再び世界で最も感染者数が多い国となっているようです。 日本ではマスクを着けている人が多いにもかかわらずこれだけ感染者が増えているため、マスクの効果に疑問を持つ人もいるようです。 日本は再び世界最多の感染者数に日本、アメリカ、フランス、イギリスの新型コロナ新規感染者数の推移(Our World In Dataより作成) 日本では10月上旬から緩やかに新型コロナの感染者数が増加しており、10月31日〜11月6日の週間感染者数は40万人を超え世界最多となったようです。 各都道府県の新型コロナ新規感染者数の推移(大阪府資料より) 日本では特に北海道の感染者数が増加していますが、ほとんどの都道府県で増加傾向にあります。 地域によって差があるのは、気温や湿度、暖房の使用による換気不足、これまでの流行により自然感染した人の多さ、などが関係しているものと考えられます。 このような状
政府は新型コロナの感染対策としてのマスクの着用について、基準の見直しに着手すると発表しました。 マスク着用の緩和について検討することは重要ですが、それだけが独り歩きしないような建設的な議論が必要です。 マスク着用は感染予防に有効であるユニバーサルマスキングによる感染リスクの低減(DOI: 10.1126/science.abc6197より) まず、前提としてマスクは新型コロナの感染対策として重要です。 新型コロナウイルス感染症では、咳などの症状がある人だけでなく、症状のない感染者からも感染が広がります。 このため、症状のない人も含めてマスクを着用する「ユニバーサルマスキング」という概念が新型コロナ以降の感染対策として定着しました。 特に換気の悪い屋内においては、離れた距離であっても感染が起こることがあり、屋内におけるマスク着用は、感染予防策として主要な対策の一つとして寄与してきました。 例
感染症の研究者によるシンポジウムが開かれ、新型コロナの感染拡大の当初から治療にあたってきた大阪大学の忽那賢志教授は、感染の第7波では、医療従事者の間でも広がり、医療の提供を続けることが難しくなった実情を説明しました。 大阪・豊中市で開かれたシンポジウムには、学生などおよそ100人が集まり、大阪大学の教授らが新型コロナへの対応などについて、紹介しました。 このうち、感染制御学が専門で新型コロナの感染拡大の当初から治療にあたってきた忽那教授は、感染の第7波での医療現場の状況を説明しました。 この中で、忽那教授は、大阪大学医学部附属病院では、先月の最も多かった時には、すべての職員のおよそ5%にあたる150人ほどが新型コロナに感染したり濃厚接触者となったりしたことを明らかにしました。 そして、「感染拡大力の強いオミクロン株が医療従事者の間でも広がり、新たな入院患者の受け入れができないなど、医療機能
第7波の流行により医療体制が逼迫する中、政府は7月29日に追加の対策を発表しました。 この中で、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある人、その家族に行動の自粛を求めています。 果たしてこの対策は妥当なのでしょうか? 第7波の新規感染者数は引き続き増加している新型コロナ新規感染者数の推移(厚生労働省. データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-より) 新型コロナ新規感染者数はいまだ増加を続けています。 7月28日には1日に23万人が陽性となり過去最多を記録しています。 東京都や大阪府など都市部の検査陽性率は50%を超えており、もはや完全にコントロール不能といった状況です。 新規感染者数に遅れて、いよいよ死亡者数も増加してきました。 新型コロナ死亡者数の推移(厚生労働省. データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-より) 現在、1日100人以上の人が新型コロナによって亡くなってい
新型コロナの新規感染者数が急激に増加しており、1日当たりの新規感染者数は18万人を超えています。 そんな中、政府は「行動制限は考えていない」と繰り返し発言しています。 まん延防止等重点措置や緊急事態宣言などの行動制限なしに、私たちは過去最大規模の流行を乗り越えることができるのでしょうか。 新規感染者数は過去最高を更新し続けている新型コロナの新規感染者数と死亡者数の推移(Yahoo!JAPAN 新型コロナウイルス感染症まとめより) 日本国内における新型コロナの新規感染者数は爆発的に増加しており、7月21日には全国で1日に18万人を超える感染者が報告されています。 この感染者数の急激な増加の背景には、 ・ワクチン接種後の時間経過による集団としての感染予防効果の低下 ・行動制限緩和による人流の増加 ・酷暑に伴うエアコンの使用による換気の低下 ・オミクロン株の亜系統BA.5の拡大 などがあると考え
日本国内ではオミクロン株の亜系統BA.5が拡大しています。 このBA.5ではこれまでのオミクロン株と比べて症状の頻度や続く期間は違うのでしょうか。 これまでに分かっていることについてまとめました。 日本国内でも急速にBA.5に置き換わっている東京都におけるそれぞれの変異株の割合の推移(第93回東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料より) 第6波の主流であったオミクロン株はBA.1と呼ばれる亜系統に分類されます。 その後、4月から5月にかけてBA.2と呼ばれる亜系統が日本国内で拡大し主流となりました。 そして現在、BA.5と呼ばれる亜系統が日本国内で拡大しています。 7月中旬時点ですでに東京都内では半分以上がBA.5による感染例と考えられています。 BA.5の症状は、BA.1/BA.2とほとんど変わらないフランスでBA.5に感染した288人の臨床症状の頻度(フランス公衆衛生局 2
オミクロン株は弱毒化しておりインフルエンザや風邪に近づいている、という意見をよく目にしますが、これは本当でしょうか? さらに「このままコロナは弱毒化していって風邪になっていく」という話もよく聞きます。これもどこまで根拠のある話なのでしょうか。 第6波の1日当たりの死亡者数は過去最大日本における新型コロナ死亡者数の推移(厚生労働省 データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-のデータを元に筆者作成) まず、オミクロン株は弱毒化しているということが強調されすぎていますが、「新型コロナ オミクロン株の感染者が重症化しにくいのはなぜか?」でも書いた通り重症化する人が少ないのは感染者の多くがワクチン接種者、過去に感染した人が感染しているからであり、オミクロン株の病原性そのものは武漢市で最初に広がった新型コロナウイルスと同等くらいと考えられています。 ワクチン未接種者、そして2回目のワクチン接種か
2022年1月23日現在、16の都道府県で実施されている「まん延防止等重点措置」ですが、大阪府などさらに適用を要請する地域が増えてきています。 第6波は重症化リスクが低いとされるオミクロン株が主流であり、現時点では重症者は少ないにも関わらず、なぜ「まん延防止等重点措置」が必要と判断されたのでしょうか? 大都市圏では軽症中等症病床が埋まってきている東京都の入院患者数の推移 2022年1月22日時点(東京都新型コロナウイルス感染症対策サイトより) 東京都では1日200人ペースで入院患者が増えています。 都の確保病床数は5015床ですので、現在は48%が埋まっているという状況です。 大阪府の入院患者数の推移 2022年1月22日時点(大阪府新型コロナウイルス感染症対策サイトより) 同様に、大阪府も軽症中等症病床が徐々に埋まりつつあり、現在52.4%に達しています。 重症例は東京都で12人、大阪府
※本記事は2022年1月上旬時点の情報に基づく記事です。オミクロン株の症状、重症化リスクなどに関する情報は最新版である以下の記事をご参照ください 「のどの痛みが多い」「嗅覚・味覚の異常は少ない」 新型コロナ オミクロン株の症状の特徴は? オミクロン株の感染から発症までの期間は?新型コロナでは感染してから発症するまでの期間(潜伏期)は約5日とされていました。 これはインフルエンザの約2日と比較して長い潜伏期と言えます。 しかし、オミクロン株ではこの潜伏期が従来の新型コロナウイルスよりも短くなっている可能性があります。 アメリカのネブラスカ州、そしてノルウェーからの報告では、オミクロン株による感染者に接触し後に発症した人の潜伏期は約3日でした。また韓国からも平均潜伏期間は3.6日であったと報告されています。 従来の新型コロナウイルスよりも潜伏期が約2日短くなっている、ということになります。 オ
全国的に新型コロナの感染者が減少しています。 このこと自体はとても良いことなのですが、果たしてこのまま第6波は来ないのでしょうか? 来るとすれば、私たちはどういったことに注意して日常を過ごせば良いのでしょうか? 全国で新規感染者が大きく減少している日本全国における新型コロナ新規感染者数の推移(Yahoo! JAPAN 新型コロナウイルス感染症まとめより) 日本全国で新型コロナの感染者数が減少しており、10月22日の感染者数は322人となっています。 第5波のピークであった8月20日には25871人の新規感染者が報告されていましたので、80分の1まで減少していることになります。 第3波と第4波の間の感染者数の底よりも、現在の感染者数の方が少なくなっています。 東京都における検査陽性率の推移(第68回 東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料より) 「減りすぎていて逆に怪しい・・・実
全国の多くの地域で新型コロナウイルス感染症の過去最大の流行となった第5波は、現在収束しつつあります。 緊急事態宣言が解除される今、第5波を振り返り、今後の取るべき対策について検討します。 過去最大の流行となった第5波2020年1月から2021年9月までの新型コロナ新規感染者数の推移(厚生労働省オープンデータより筆者作成) 2021年6月下旬頃から始まった第5波は、全国では8月20日に過去最多となる25851人の新規感染者数を記録し、それ以降は減少に転じました。 9月下旬現在も、減少の速度は落ちることなく順調に新規感染者数は減少しています。 2020年5月から2021年9月までの新型コロナ入院患者数の推移(厚生労働省オープンデータより筆者作成) 全国での新型コロナ入院患者数は過去最大を記録し、一時は20万人を超え、第5波の新型コロナの累計入院患者数においては80万人に達しました。 よく新型コ
新型コロナウイルスに感染した後、1ヶ月以上症状が続くことがあり「後遺症」と呼ばれています。 現時点で後遺症について分かっていることについてご紹介します。 新型コロナの「後遺症」とは?新型コロナに感染した人の中には、数週〜数ヶ月間に渡って様々な症状が続く方がいます。 これらは海外では「LONG COVID」「Post COVID」などと呼ばれていますが、日本国内では「後遺症」と呼ばれることが多いため、ここでも新型コロナ後遺症という表現を使います。 新型コロナ後遺症の定義は国内では定まったものはありませんが、海外では「発症から4週間経っても続く症状」を後遺症と定義しているものもあります。 新型コロナ後遺症の原因は?新型コロナ後遺症が起こる原因についてはまだ多くが未解明です。 単一の病態ではなく、4つの病態が複合的に絡み合った病態ではないか、と考えられています。 4つの病態とは、 (1) 肺、心
東京都の新規感染者数は現在も1日当たり5000人前後と非常に高い水準で推移していますが、SNSなどでは「ピークアウトが近いのでは?」という声が聞かれるようになってきました。 一方、東京都の専門家は「診断されていない感染者が多くいるのではないか」という懸念を示しています。 都内の感染者は本当に減ってきているのでしょうか?東京都の新規感染者の報告数は、実際の感染者数をどれくらい正しく反映しているのでしょうか? 東京都の感染者数の推移は「やや増加〜横ばい」に東京都における新規感染者数(東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト) 東京都における新型コロナ新規感染者数は7月下旬から8月中旬までの急激な増加ペースと比べると、現在は緩やかな増加もしくは横ばいになってきました。 現在も非常に多くの感染者が発生していることには変わりありませんが、増加ペースだけを見れば良い兆候と言えます。 しかし、東京都の専
全国で新型コロナの第5波に見舞われており、特に関東ではこれまでで最大規模の流行となっています。 第5波の特徴として感染者数に占める重症者の割合が少ないことが挙げられますが、だからといって決して安心できるものではありません。 東京都の新規感染者数は第3波のピークを超えさらに増加東京都の新型コロナ新規感染者数の推移(Yahoo!JAPAN 新型コロナウイルス感染症まとめ より) 7月29日の東京都の新規感染者数は3865人に達し、これは1週間前の7月12日の1978人よりも約2倍の増加になっています。 これまで東京都内の新規感染者数のピークは第3波の2021年1月7日の2520人でしたが、それをすでに大きく上回っており、さらなる増加が懸念される状況です。 デルタ型が4割を超え、アルファ型からの置き換わりが顕著に東京都におけるL452R(デルタ型)陽性率の推移(第56回東京都新型コロナウイルス感
mRNAワクチンとは? 現時点で国内で承認されているのはファイザー/ビオンテック社、そしてモデルナ社が開発したmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンと、アストラゼネカ社が開発したウイルスベクターワクチンの3つですが、現時点では実際に接種が行われているのはmRNAワクチンのみです。 mRNAというタンパク質を生成するために使用する情報を運ぶ設計図が、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイク蛋白、つまりウイルス表面のトゲトゲした突起の部分を作る指示を伝える役割を果たしています。 ワクチンが接種されると、mRNAは注射部位近くの細胞に取り込まれ、細胞内のリボソームという器官がmRNAの情報を読み込み、スパイク蛋白を作ります。 その後、スパイク蛋白はマクロファージの表面に現れると、このスパイク蛋白に対する抗体が作られたりT細胞を介した免疫が誘導されることで、新型コロナウイルスに対する
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