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思想と本に関するlaislanopiraのブックマーク (351)

  • 井上達夫『リベラルのことは嫌いでも・・・』を読んでしまった | 中東・イスラーム学の風姿花伝

    駒場の東大の生協で発売されたばかりのこれを買ってきた。 『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください--井上達夫の法哲学入門』(毎日新聞出版) 「タイトルがね〜」とくさしながら読み始めたが中身がすごく真摯でかつ単刀直入なので引き込まれてしまって、タイトルなど気にならなくなった。いや、当に、リベラリズムのことは嫌いにならないでください、と心の底から思った。 (「人文系の先生のことは嫌いでも、人文系学部は社会に必要だから嫌いにならないでくださ〜い」とか応用が効くような気もしてきた) この著者は、私が大学に入った頃、1・2年の教養学部の頃に『共生の作法』(創文社、1986年)を読んで以来、が出るたびに買って読んできた。 思い出深いのはやはりこれでしょうか。こののインパクトはすごかった。 『他者への自由―公共性の哲学としてのリベラリズム』(創文社、1999年) その当時

    井上達夫『リベラルのことは嫌いでも・・・』を読んでしまった | 中東・イスラーム学の風姿花伝
  • クソフェミ「まずは本を読め!」俺ら「どの本を?」のテンプレに答える本当にフェミニズムが学べる5冊の本

    砂 @sunasarasara 当のフェミニズムを何より待ちわびているのはアンチフェミですよね。我々散々フェミ二ストから「それは当のフェミニズムじゃない!」みたいなこと言われてますからね。じゃあ「当のフェミニズムを屏風から出してください」というと読めみたいなこと言われたりして煙に巻かれるどのなのかと。 2015-06-13 21:42:46

    クソフェミ「まずは本を読め!」俺ら「どの本を?」のテンプレに答える本当にフェミニズムが学べる5冊の本
    laislanopira
    laislanopira 2015/06/16
    正義論に踏み迷うだけで一生が過ぎ去る
  • 『女装して、一年間暮らしてみました。』マッチョな俺に、さようなら - HONZ

    「変態!」 「目立ちたがり屋!」 突然のカミングアウトに、著者のは罵る。罵りまくる。驚きは隠せないだろう。楽しい外中に夫から「ガーターフリーのストッキングを履いている」と告げられたら。若くしてテレビ業界で成功して名声と富を得た夫がいきなりストッキングを履いて興奮している姿は、地獄絵図である。 だが、ストッキングを履くことは著者の壮大な実験の序章に過ぎない。化粧をして、女性らしい歩き方の講習を受け、挙句の果てに人口乳房の重さを熟慮する。 「あなた当におかしくなったの?私が結婚したのは男よ、女じゃないわ!」 「もう、やめて!」 「私に満足していないの?」。 の叫びは悲痛なものになっていくが、著者は実験をやめるどころか、のめりこんでいく。 書は自己啓発系のを多く手がけている出版社から刊行されており、「女装して自己啓発しちゃいましょう!」というファンキーな内容を予想したのだが、見事に期

    『女装して、一年間暮らしてみました。』マッチョな俺に、さようなら - HONZ
  • 國分功一郎が選んだ、いま読むべき“哲学”にまつわる3冊|ブックス & ミュージック & アート(本・書評)|GQ JAPAN

    現代の政治ではなにが行われているのか。その原点を探るには、哲学を知ることが近道だ。哲学者・國分功一郎氏がさらっと読める良書をセレクト。 文・國分功一郎   写真・小嶋晋介 1 『斜めから見る─ 大衆文化を通してラカン理論へ』 著者 / スラヴォイ・ジジェク 訳 / 鈴木晶 ¥2,600 青土社 映画を通じて”哲学”を知る スロベニアの哲学者、スラヴォイ・ジジェクによる透視図法。難解と言われるラカン派精神分析学をわかりやすく解き明かす。ジジェクにはじめて触れるのにもちょうどいい一冊である。 2 『哲学初歩』 著者 / 田中美知太郎¥1,000 岩波現代文庫 入門書で基を学ぶ 哲学者・田中美知太郎による哲学の根問題を探り、哲学の究極において求められているものを探求する。初歩的な問題を解き明かしていく良書だ。著者は日西洋古典学会設立メンバーでもある。 3 『ソクラテスの弁明』 著者 / プ

    國分功一郎が選んだ、いま読むべき“哲学”にまつわる3冊|ブックス & ミュージック & アート(本・書評)|GQ JAPAN
  • 『S,M,L,XL+: 現代都市をめぐるエッセイ』語り、それ自体が都市であるような - HONZ

    普段、線をぐりぐりと引きながらを読む。あとで引用しようと思うぐっときた部分に、結論部分に、問題提起の部分に。概ねあとから読み返した時に、そこを起点として他の細部をずるずると思い出せるように引いている。というわけで、書もいつもと同じように愛用のボールペンを片手に読み始めた。冒頭の畳み掛けるような問いかけから思っても見なかった都市観を提示され線を引き始めてみれば、これがいつまでたっても線が引き終わらない。 中心の束縛、アイデンティティの拘束から解放された、今のニーズを追求し古いものを捨て去る現代的な都市を「ジェネリック・シティ」と名づけた章から書ははじまる。時に冗長で混沌としながらも力強くリズミカルな文体は、まるで頭の中の都市概念を一旦解体し、言葉によって再構築してみせるかのようだ。1ページ線を引き続けて、2ページ目も引き続けて、4ページになっても引き続けて「このままじゃあ、が真っ黒に

    『S,M,L,XL+: 現代都市をめぐるエッセイ』語り、それ自体が都市であるような - HONZ
  • レイプの遺伝子『暴力の解剖学』

    もちろん、レイプの遺伝子なんてものはない。だが、レイプは「遺伝」するのかという問いには、非難と議論の渦中から、様々な応答がなされている。 たとえば、『人はなぜレイプするのか』[レビュー]は進化生物学の観点から解き明かす。結論からいうと、養育の投資量の男女差になる。男は養育の投資量が相対的に少ないため、繁殖のため多数の相手に関心を向ける。一方で女は、妊娠、出産、育児に多大な時間とエネルギーを費やされるため、男選びに慎重になる。このセクシャリティの差が、レイプの究極要因だというのだ。 ただし、レイプそのものが適応かどうかについては判断を保留し、フェミニストの立場からの「学習理論」を紹介することで、バランスを取ろうとする。すなわち、レイプとは男性位の歪んだ文化によってもたらされたという立場だ。挑発的な表紙とタイトルとは異なり、慎重にロジカルに議論を整理している。 一方、『暴力の解剖学』は大幅に

    レイプの遺伝子『暴力の解剖学』
  • 『ぼくらが原子の集まりなら、なぜ痛みや悲しみを感じるのだろう』はスゴ本

    意識は科学で説明可能か? このとんでもなくハードな問題に突入する。ギリギリ捻られる読書体験を請け合う。 著者は現役の哲学者、意識という現象を自然科学的な枠組みのもとで理解するという問題(意識のハード・プロブレム)に、真っ向から取り組んでいる。「物理主義」や「クオリア」、「哲学的ゾンビ」「意識の表象理論」を駆使して、科学・哲学の両方に跨がる難問に挑戦する。[wikipedia:意識のハード・プロブレム]に興味がある方は、ぜひ手にして欲しい。深く遠いところまで連れて行かれるぞ。 ハードがあるなら、イージーもある。流行りの認知科学にありがちな、MRIやCT、電気パルスを用いて、脳状態と意識経験の相関を明らかにする研究だ。例えば赤い色を見たとき、脳のどの部位がどのような状態になっているかを解明する問題で、これが意識のイージー・プロブレムになる。怪しげな脳科学者が、「脳はここまで解明された!」と宣っ

    『ぼくらが原子の集まりなら、なぜ痛みや悲しみを感じるのだろう』はスゴ本
  • 『メディア・モンスター』黒川紀章、この微妙な人物の絶妙な人生 - HONZ

    黒川紀章という建築家には、過小な評価と過剰な評価が共存する。ある特定の世代には、2007年の都知事選へ出馬した際の泡沫ぶりが印象深いことだろう。またある世代においては、日初の建築運動「メタボリズム」を颯爽と牽引した先進性が記憶に残っているかもしれない。いずれにしても彼には、毀誉褒貶という言葉がよく似合う。 だが彼が打ち出した「共生」という概念を今一度振り返れば、その不安定さの中に彼の居場所があったのではないかと感じる。「共生とは対立、矛盾を含みつつ競争、緊張の中から生まれる新しい創造的な関係をいう」と語った彼ならば、浮き沈みの激しい状態こそを、平穏なひと時と感じていたかのもしれない。 書は、そんな黒川紀章の人生を600ページを越える分量で描き出した評伝的ノンフィクションである。彼の手掛けた建築物の一つ一つを中心に据えるのではなく、その思想や出来事を連ねて一つの創作物に見立てたらどのよう

    『メディア・モンスター』黒川紀章、この微妙な人物の絶妙な人生 - HONZ
  • 坂井豊貴『多数決を疑う』(岩波新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    5月11 坂井豊貴『多数決を疑う』(岩波新書) 9点 カテゴリ:政治・経済9点 サブタイトルは「社会的選択理論とは何か」。単純な多数決の問題点を指摘し、その代替案、さらには多数決に依拠している現在の政治のこれからのあり方を問う非常に面白いになっています。 個人的にこのが素晴らしいと思った理由は2つあって、それは(1)社会的選択理論を初歩から丁寧かつ明晰に説明している点、(2)明晰であるがゆえに著者との根源的な政治観や人間観の違いが明らかになって政治に対する認識がより深まった点、の2点です。 まずは(1)の部分から。 社会的選択理論の入門書というと、佐伯胖の『「きめ方」の論理』あたりが有名だと思いますが(佐伯胖のでは「社会的決定理論」となっている)、さすがにもう35年も前のですし、何よりも300ページ近い、それなりに専門的なです。 また、社会的選択理論に触れたの中には、いきなり「

    坂井豊貴『多数決を疑う』(岩波新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期
    laislanopira
    laislanopira 2015/05/12
    "著者やルソーは人間の理性にあまりに多くのことを期待しているように思えます。"
  • 『ナチスと精神分析官』ナチ気質という未解決問題 - HONZ

    第二次世界大戦が終わってから70年近くが経つにもかかわらず、いまだナチスというのは悪のレベルを推し量る一つの「ものさし」である。狂信的な集団による凄惨な事件の話を見聞きする度に、ナチスと比べてどちらが非道なのか、そして双方に共通するものは何なのかという問いが頭をよぎる。しかし語り尽くされたであろうナチスにも、まだまだ掘り起こされていない歴史が存在した。 1945年8月、ニュルンベルクでのこと。かつて加害者として収容所を君臨したナチの高官たちは、今や戦犯としての裁きを待つしかない憐れな捕虜となっていた。 当時52歳であったヘルマン・ゲーリングは、ナチ党において極めて悪評の高かった数々の活動の計画や実施を担った人物である。内部粛清として有名な長いナイフの夜事件、ゲシュタポの創設、反ナチ派用の強制収容所の設立、政敵の追放。第二次世界大戦までに彼を上回る肩書を保持していたのは、アドルフ・ヒトラーた

    『ナチスと精神分析官』ナチ気質という未解決問題 - HONZ
  • 新進の宗教学者が解き明かすパワースポットの作り方『聖地巡礼 世界遺産からアニメの舞台まで』 - HONZ

    今回ご紹介するのは、新進の宗教学者による「聖地巡礼」についての新書です。聖地巡礼と言われて、読者の皆さんは何を想像されるでしょうか。書で扱っているのは、ある種の自分探しやパワースポット巡り、そしてサブタイトルにも触れられているアニメ作品に触発された「聖地巡礼」ムーブメントなどを含む、とても広い範囲の現象です。 著者は書の中で、「宗教が変質してきている」と語っています。宗教がもともと人々の生活に密着していたものだったことを考えれば、現代のいわゆる伝統的な宗教から人々の生活が乖離しつつある状況は、そのまま「宗教の変質」を物語るものでしょう。逆を考えれば、書のように具体的にその「変質」の例をいくつも吟味しているうちに、人々の暮らしがどのように変わってきているのかを学ぶことができるともいえます。 いくつもある具体例 書では、先に触れたとおり現代みられる様々な「聖地巡礼」の具体例が挙げられて

    新進の宗教学者が解き明かすパワースポットの作り方『聖地巡礼 世界遺産からアニメの舞台まで』 - HONZ
  • くらし☆解説 「ピケティ・ブームと日本の"格差"」 | くらし☆解説 | 解説委員室:NHK

    (岩渕) こんにちは。暮らし☆解説。 きょうのテーマは、「ピケティ・ブームと日の格差」です。 世界の経済格差を取り上げた一冊の専門書、 「21世紀の資」が、各国で大きな話題を呼んでいます。 世界38カ国で150万部を突破。 日語版も13万部を超えて、専門書としては、異例のヒットとなっています。 著者は、この人。 フランスの経済学者、トマ・ピケティ教授。 各国を講演で飛び回り、その人気はピケティ現象とまで言われています。 先日、日にも訪れ、会見やインタビューを精力的にこなしました。 竹田忠解説委員です。 この専門書が、なぜ、こんなに話題となるんでしょう? A1 このは、一言で言うと、世界各国の経済格差が、なぜ起きているのかを 詳しく論じたものなんです。 日では、一昔前までは、一億総中流といわれ、 比較的格差のない国だと、みんなが思っていた。 それが、

    くらし☆解説 「ピケティ・ブームと日本の"格差"」 | くらし☆解説 | 解説委員室:NHK
  • 『日本の反知性主義』のまえがき - 内田樹の研究室

    『日の反知性主義』は3月刊行予定。編者として「まえがき」を書いたので、それを掲載しておきます。 どういう趣旨のなのか、その緊急性は何か、それをぜひご理解ください。 編者のまえがき みなさん、こんにちは。内田樹です。 書、『日の反知性主義』は昨年の『街場の憂国会議』に続いて、私がその見識を高く評価する書き手の方々に寄稿を依頼して編んだアンソロジーです。書の企図が何であるかは昨夏に発送した寄稿依頼の書面に明らかにされております。それを再掲して、書編纂の意図を示しておきたいと思います。まずそれをお読みください。 私たちは先に晶文社から『街場の憂国会議』を刊行しました。これは特定秘密保護法の国会審議においてあらわになった立憲政治、民主制の危機について、できるだけ多様な視点からその文脈と意味を考察しようとした試みでした。不肖内田がその編著者を拝命いたしましたが、多くのすぐれた書き手の方に

  • 椹木野衣による600ページ超の評論集『後美術論』、混沌から新たな芸術批評を探る試み | CINRA

    椹木野衣の著書『後美術論』が、2月27日に刊行される。 同書は、2010年11月号から『美術手帖』に連載されている椹木の評論『後美術論』から、14回分を収めたもの。「後美術」とは、美術や音楽といった既成のジャンルを取り払い、ジャンルが生まれる前の混沌から新しい芸術の批評を探る試みだという。600ページを超えるボリュームとなる同書では、ジョン・レノンとオノ・ヨーコを、ポピュラー音楽と前衛芸術の枠組みを外して「音楽と美術の結婚」というテーマで論じるなど、様々なミュージシャンとアーティストを1つの章で読み解いていく。 評論の対象として取り上げられている「後美術家」たちの組み合わせは、オノ・ヨーコとジョン・レノンをはじめ、Sonic Youthとマイク・ケリーとクリスチャン・マークレー、クリス・バーデンとケネス・アンガー、PerfumeとKraftwerkとギルバート&ジョージ、アンディ・ウォーホ

    椹木野衣による600ページ超の評論集『後美術論』、混沌から新たな芸術批評を探る試み | CINRA
  • 「フランス的思考―野生の思考者たちの系譜」石井 洋二郎 著

    近代フランスを特徴づける、デカルト以来の合理主義、フランス語の優位性への確信から広がった普遍主義という二大潮流に対する反合理主義・反普遍主義あるいは非合理主義・非普遍主義的な思想の系譜を、マルキ・ド・サド、シャルル・フーリエ、アルチュール・ランボー、アンドレ・ブルトン、ジョルジェ・バタイユ、ロラン・バルトの六人を通して描くことで、「フランス的思考」の姿に迫る一冊。 著者は「フランス的思考」という書名について、フランス語にすれば”pensée Française”(フランス思想)となるが、敢えて「的」「思考」とすることで『すでに確立された「フランス」の「思想」に関するなんらかの見取り図のようなものを答えとして提示する書物ではな』(P10)く『さまざまな留保つきではあれ「フランス的」という形容詞を冠することができるかもしれない「思考」のありようをめぐる問いかけの書物』(P10)として描く。反合

    「フランス的思考―野生の思考者たちの系譜」石井 洋二郎 著
  • 『暴力の人類史』 人類史上もっとも平和な時代 - HONZ

    テロ、紛争、無差別殺人。世界は悲劇的なニュースで溢れている。人類は自らの手でその未来を閉ざしてしまうのではないか、と不安になる。ところが、著者スティーブン・ピンカーは大胆にもこう主張する。 長い歳月のあいだに人間の暴力は減少し、今日、私たちは人類が地上に出現して以来、最も平和な時代に暮らしているかもしれない にわかに信じがたいこの説を検証し、読者に確信させるためにピンカーは、人類の暴力の歴史を大量の統計データとともに振り返る。書が上下で1,300ページ超という並外れたボリュームで膨大な文献を引用しているのは、並外れた説の主張にはそれに見合った証拠を提出する必要があるからだ。しかし、ピンカーが「統計のない物語が盲目であるとするならば、物語のない統計は空疎である」と語るように、書はデータばかりが延々と続く退屈なものではない。持続的な暴力減少を示す圧倒的な事実の積み重ねとそのメカニズムに対す

    『暴力の人類史』 人類史上もっとも平和な時代 - HONZ
    laislanopira
    laislanopira 2015/02/12
    印刷術が人道主義革命を準備した。フリン効果で人類の抽象的思考能力も上がった
  • 「桃源郷――中国の楽園思想」川合 康三 著

    苦しみの無い世界=理想郷の希求は人類誕生以来の、いかなる時代も地域も国も人種も超えた普遍的な願いであった。キリスト教的なパラダイス(楽園)の概念は、十六世紀英国の作家トマス・モアによって名付けられたユートピアの誕生によって、苦しみの無い世界の社会・共同体のあり方がどのようなものかを描くことに軸足が移る。「ユートピア」の希求は清教徒革命、アメリカ独立、フランス革命と産業革命を通じて社会的平等と公正を重視した理想社会を浮かび上がらせて社会主義を胚胎し、やがて近代社会に大きな影響を与えた。 一方、日にも大きな影響を及ぼしてきた中国では、楽園はどのような描かれ方をしてきただろうか。書で描かれるのは、桃源郷を始めとする様々な中国の楽土=楽園思想である。 現実ではないもう一つの世界として、古代から不老長生を実現できる「神仙界」がどこかにあると考えられた。秦の始皇帝を始めとする帝王たちは不老長生の薬

    「桃源郷――中国の楽園思想」川合 康三 著
  • 古典は、頭を鍛え、社会を学ぶ、最強の格闘場だ『闘うための哲学書』

    手に汗握る、言葉による殴り合い。 哲学書をダシに、理想主義と現実主義が、足を留めて殴りあう。丁々発止が凄まじく、知的興奮は否が応でも漲ってくる。哲学とは対話を通じて考え抜く、動的な行為である。静的な書物とは、薪であり、燃料であり、知的な土俵なのである。なかでも古典は、時代のフィルターを経て結晶化されている。現代の価値観から裁定するのではなく、現代の問題に引き付けて、どこまで説明原理が可能かを模索することにより、古典は、最高の爆薬になる。 ブックガイドとしても優秀だ。二人の現役哲学者が、プラトンから和辻哲郎まで、22人22冊の哲学書を引用し、「いま」「ここ」の問題に実践的に適用する。非常に面白いのは、理想主義の小川仁志と、現実主義の萱野稔人とで読みが異なってくるところ。アクチュアルに読む、とはどういうことか、実例をもって示してくれる。 たとえば、カント『永遠平和のために』を俎上に乗せ、「平和

    古典は、頭を鍛え、社会を学ぶ、最強の格闘場だ『闘うための哲学書』
  • 最高の入門書を一冊で『そうだったのか現代思想』

    きっかけは、このツイートに遡る。 色んなメンヘラを見てきて思うのは、あいつら圧倒的には読書量が足りねえってこと。メンヘラが一心不乱に悩んでることは1000年とか2000年前のメンヘラが既に悩み終わってることなんだよ — プリンツ=オイゲン (@_sexperia) 2014, 12月 16 メンヘラに限らないし、2000年は盛りすぎだ。だが言ってることは合っている。ええトシこいたオッサンなのに、中学生からの悩み「私とは誰か(何か)?」がまだ悩み終わっていないのは、圧倒的に足りないから。存在論と認識論から始まって、認知科学や科学哲学、数学から仏教まで、道草が愉しすぎて終わる気がしない。わたしの時間が終わるまで、知りたいことを知り尽くしたい。 その手引きとなる一冊がこれだ。網羅性はないし単純化バイアスが掛かっているが、現代思想のエッセンスを凝縮し、ひたすら噛み砕くのが良い。要所要所で出てくる概

    最高の入門書を一冊で『そうだったのか現代思想』
  • タラル・アサド『世俗の形成』 - kiyonobumieの日記

    「宗教」を理解しようとする学問は、その対となるものの理解にも努めなければならないはずである。−−タラル・アサド Formations of the Secular: Christianity, Islam, Modernity (Cultural Memory in the Present) 作者: Talal Asad出版社/メーカー: Stanford University Press発売日: 2003/02/03メディア: ペーパーバック クリック: 5回この商品を含むブログ (1件) を見る もう2年前になると思うが、日の指導教官との面談の際にこのの話が出て、これが重要な著作であること――とりわけ近代を宗教性の観点から読み直すということをしたがっている私のような研究スタンスの者にとって――は認識していた。それで英語を取り寄せてはいたのだったが、「英語かぁ」とやや敬遠気味に、

    タラル・アサド『世俗の形成』 - kiyonobumieの日記