日銀は25、26両日開いた金融政策決定会合で政策金利の維持を決めた。金融緩和基調は当面続き、過度の円安は事実上放置された形だ。円安による物価高で家計は深刻な痛手を受けている。自国通貨の価値下落に対し、日銀の対応は手ぬるいのではないか。
宮崎雅雄(みやざき・まさお) 神奈川県横須賀市出身。岩手大農学部卒業、同大学院連合農学研究科博士課程修了後、理化学研究所や東海大の研究員などを経て、2011年、母校の岩手大に特任准教授として着任。20年から現職。21年、マタタビ反応についての研究成果を米科学誌で発表した。動物の嗅覚研究に取り組み、企業との製品開発などにも取り組む。ネコよりイヌ派で、イヌの研究もしており、家ではイヌを5匹飼っている。 研究室で飼育しているネコ「セル」を抱く岩手大教授の宮崎雅雄さん。世界的な科学誌が名前の由来で、他に「サイエンス」など17匹のネコがいる=盛岡市の岩手大で ネコにマタタビをあげると、転がったり葉をなめたりかんだり。日本では300年以上前から知られ、「マタタビ踊り」とも呼ばれるネコの不思議な反応で、その理由は「マタタビの匂いを嗅いで酔っぱらっているから」と考えられてきました。岩手大農学部教授の宮崎雅
アベノミクスの10年、労働者にツケ…「意外。教科書にはなかった」 元首相の指南役・浜田宏一氏インタビュー 大規模な金融緩和を中心とした安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」の指南役として、当時内閣官房参与を務めた浜田宏一米エール大学名誉教授(87)が本紙のインタビューに応じた。浜田氏はアベノミクスの10年間について、大企業で利益が出ても中小企業や労働者に恩恵が波及しなかったことに「意外で、いびつな状況」との見解を示した。主なやりとりは次の通り。(原田晋也)
東京電力福島第1原発から海洋放出処分が計画されている処理水は、原発で発生が続く汚染水を浄化処理した後の水です。どのようにして処理しているのでしょうか。(小野沢健太) A 1~3号機内には事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)があり、原子炉に注水してデブリを冷却する作業が続いています。デブリに触れた水は、高濃度の放射性物質を含む汚染水となります。建屋の損傷部分などから入ってきた雨水や地下水と混ざって量が増え、2022年度で1日約90トン発生しました。デブリへの注水と、建屋内への水の流入を止めない限り、汚染水は発生し続けます。
東京電力福島第一原発の「処理水」の海洋放出をめぐり、国際原子力機関(IAEA)は、国と東電による放出計画は「国際的な安全基準に合致する」と評価した。しかし、漁業者、消費者、そして国際社会の不安は募る。IAEAの報告を放出開始の“お墨付き”にすべきではない。 福島第一原発の1~3号機には溶け落ちた核燃料を冷やすため、水を注ぎ続けなければならず、これに加えて地下水や雨水が流れ込むため、一日約九十トンのペースで放射能汚染水が発生している。 汚染水に含まれた放射性物質の大半は多核種除去設備(ALPS)で取り除くことが可能だが、水とそっくりなトリチウムは残る。このため、専用のタンクにくみ上げて、原発敷地内に保管してきた。しかし、千基を超えるタンクが敷地内に密集し、廃炉作業に支障が出るとして、政府は一昨年四月、濃度を国の基準値未満に薄めた上で、海に流す方針を決めた。設備も整い、今夏にも放出にかかる意向
東京都内で住宅内装業を担う企業の契約社員、大橋翼(たすく)さん(41)はこの10年間を「豊かな人が豊かになり、貧しい人はもっと貧しくなった」を振り返る。戦後2番目の長さの好景気を含む期間だが、「景気が良くなった実感はない」という。 早朝から深夜まで1日に3、4件は現場で作業をし、長時間労働は当たり前。会社は売り上げを伸ばしているように見えたが、残業代の削減などの「賃下げ圧力があった」。他の契約社員と未払い残業代の請求などをするようになったといい、「交渉しなければ、奪い取られるだけの10年だった」と実感を込める。
報告書名は「新時代の日本的経営」。経営で三つの雇用の形を組み合わせることを提言した。このうち契約社員や派遣ら非正規を「雇用柔軟型」と名付け、企業が人件費を抑えるために活用する方向性を示した。 新時代の日本的経営 終身雇用や年功賃金を中心とする日本的雇用の見直しを求める提言。急激な円高や不況を受け、人件費を抑えるのを目的に3種類の雇用を組み合わせる「雇用ポートフォリオ」の導入を企業に促した。正社員に当たる「長期蓄積能力活用型」、専門能力を生かす「高度専門能力活用型」に加え、現在の非正規労働者に当たる「雇用柔軟型」を設定。企業が非正規を増やす方向性を示したとされる。 当時、日本は先進国が協調してドル高を是正する「プラザ合意」(85年)を機に円高が急伸、その後のバブル崩壊で不況に陥った。成瀬さんは報告書の作成について「円高で賃金が上がり過ぎたから下げるしかなかった。このままでは企業がつぶれるとい
10代続けて日銀OBが社長に就任しているのは、おかしいのではないか。物言う株主(アクティビスト)から、そんな疑問をぶつけられ、「天下り」の実態調査を求められている上場企業がある。会社側は天下りを否定し、全面対決の様相をみせる。敵対的買収や役員交代など、過激な要求が注目されるアクティビストだが、近年はガバナンス(企業統治)の問題点を指摘するなど、現実的な提案も増えてきた。かつて「強欲」と非難された物言う株主は今—。 (岸本拓也) 「天下り」の指摘を受けたのは、東京・兜町の東京証券取引所近くに本社を置く日本証券金融(日証金)。証券会社に取引用のお金や株式を貸し出すのが主な業務で、公共性の高い金融機関。東証最上位のプライム市場に上場している。日銀と資本関係はないが、1950年の上場以来、現在の櫛田誠希(しげき)社長(64)まで10代続けて日銀の理事経験者が社長になっている。
日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁が「値上げ許容」発言をした6月に、国民から日銀に直接寄せられた批判的な意見が計730件に上っていたことが分かった。国民からの意見は通常、月100件に達することはなく異例だ。日銀が続ける大規模金融緩和策は円安による物価上昇を招いており、国民の不満の高まりを映している。(皆川剛)
約20年ぶりに1ドル=126円台前半まで円安が進んだのは、上昇する米金利とは対照的に、日銀の大規模な金融緩和の継続によって、日本の金利が低く抑えられているためだ。この円安誘導は安倍政権以降の経済政策の柱だが、輸入品価格が上昇する中で、家計を圧迫させる副作用が強まっている。 米国では今年3月の消費者物価上昇率が約40年ぶりの高水準となるなど物価上昇に歯止めがかからない。インフレを抑えるため、米国の中央銀行に当たる米連邦準備制度理事会(FRB)は今後も金利を急激に引き上げる公算が大きく、長期金利は約2.7%を超え、3年ぶりの高い水準となった。 米国に対して日本の景気は回復軌道に乗っておらず、日銀は物価高への対応よりも、金融緩和の継続を優先。長期金利を0.25%より低く抑える方針だ。円安進行で輸出企業の円換算の収益が増えることなどから、「プラスの効果の方が大きい」(黒田東彦総裁)として日銀は円安
土浦市西真鍋町に残る国登録文化財の武家住宅「一色家住宅主屋」が同市に寄付された。幕末の土浦藩の家老出身で、明治維新後は県内初の国立銀行の創立者となった一色範疇(はんちゅう)(一八二九〜一九〇一年)の居宅跡。市は、整備した上で観光利用などの道を探る。 範疇の子孫の彫刻家一色邦彦さん(86)=牛久市=が「ゆかりの土浦市で活用し、一色の名を後世に伝えてほしい」と寄付を申し出た。主屋と土地のほか、近年になって増築した別棟や裏山なども全て譲った。 主屋はかやぶき屋根の平屋で、床面積は約二百一平方メートル。江戸時代末期に造られた別の土浦藩士の屋敷を、明治時代に範疇が現在地に移築して居宅にした。武家住宅の名残をとどめる貴重な建物として、二〇〇一年に国登録有形文化財建造物に認定された。 範疇は一八六四(元治元)年、水戸藩内外の尊王攘夷派が筑波山で挙兵した天狗(てんぐ)党の乱に際し、土浦藩(藩主が水戸徳川家
新型コロナウイルスワクチンの1回目を、国民の約半数が打ち終えた。データが蓄積され、米ファイザー製、米モデルナ製それぞれの特徴が見えてきた。厚生労働省の研究では、モデルナ接種後に発熱した人の割合はファイザー接種後の2~3倍に上ると判明。諸外国より突出して多く、日本特有の現象だ。2回のワクチン接種を完了しても陽性になる「ブレークスルー(突破)感染」の危険性も残る。(沢田千秋) 「頑強な自衛隊の方でさえ、4割が病休したのはちょっとショック」。ワクチン副反応の調査を担う厚労省研究班の代表、伊藤澄信・順天堂大客員教授は、副反応検討部会で率直にそう述べた。モデルナの調査は自衛官を中心に行った。2回接種後、4割が「仕事にならない状況」だったという。
1991年12月25日、辞任演説の直前、核兵器の管理権をエリツィン・ロシア大統領に移譲する法令の書面を示すゴルバチョフ・ソ連大統領=AP 静かな夜だった。1991年12月25日、モスクワの赤の広場。ソ連のゴルバチョフ大統領が国民向けの最後のテレビ演説で辞任表明した後、クレムリン宮殿の上にはためいていた槌(つち)と鎌の赤いソ連国旗が降ろされ、白青赤のロシア国旗がするすると掲げられた。その光景は目に焼き付いている。 超大国ソ連が崩壊して25日で30年を迎えた。当時、私はゴルバチョフ演説終了後、当時所属していた新聞社のスタッフとともに、車で赤の広場に向かった。その瞬間は、あまりにあっけない幕切れだった。ロシア帝国の領土をほぼ継承した特殊な帝国、ソ連邦は消滅し、新生ロシアを含む15の民族共和国が独立したのだが、実感は湧かず、それが歴史的、地政学的にどれほど図りきれないほどの重大な意味をもつ出来
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