批判や脅迫で一時は中止に追い込まれた、あいちトリエンナーレの企画展「表現の不自由展・その後」。大浦信行さんの映像作品「遠近を抱えて PartⅡ」も、作中で「天皇の肖像を焼いた」と抗議の対象になっている。天皇と表現をめぐり30年以上も格闘してきた大浦さんの目に、この国の“自由”はどう映っているのか。 ――「表現の不自由展・その後」は、中止・再開という異例の展開を見せています。今回、一番驚いていることは何ですか。 「令和と呼ばれる時代になっても日本の人々の中に天皇タブーというものがこんなに根強く残っていたのか、ということです」 ――そこで言う天皇タブーとはどのようなものでしょう。 「芸術、表現の中で天皇を扱うこと自体が認められない、そんな風潮です。どのような動機からであれ、どのような形であれです」 ――表現の具体的な中身に問題があるから、ではないのですか。 「そうとは限りません。昭和天皇が存命
表現の不自由展騒動がきっかけなのか、最近「アート」に関する勘違いを頻繁に耳にする。 とりあえずポリティカルなことや特定の展覧会や人物の動向は抜きに、アートに対して人々が抱いている勘違いを淡々と正してみる。 文章が読めない人向けに繰り返すが、別に「表現の不自由展」など特定の展覧会や作品の是非について語っているわけではなく、人々が抱く「アート・芸術」に対する先入観について語っている。 自費でやれ?基本的に、人間は芸術で食っていけないという前提がある。 前史時代から近現代に至るまで、金銭や作品発表場所など、なんらかの「補助」なしで歴史に刻まれた芸術作品や芸術家はいない。 「補助」は大まかに分ければパトロン系、政府系に大別されると思う。 パトロン系バッハ、ミケランジェロ、ボッティチェリ、レオナルド・ダ・ヴィンチ…今も知られる芸術家のほとんどは貴族や王族の庇護のもとにあった。特に有名なのはメディチ家
しかしいつも自民党議員の失言について「一部を切り取られて歪曲して報じられただけだ!」と擁護している連中が『表現の不自由展』の作品の一部を切り取って歪曲して叩いているのがとても滑稽ですね #ss954
あいちトリエンナーレ補助金不交付の支離滅裂 法的根拠も合理性もなし。法の支配を歪め、行政運営の根本も揺るがす過った決定 米山隆一 衆議院議員・弁護士・医学博士 「あいちトリエンナーレ2019」に対して、審査され採択が決まっていた約7800万円の補助金について、文化庁がこれを覆して全額を不交付にしたことが議論を呼んでいます。 そもそも「表現の自由を損なう」という点で大きな問題だと思いますが、私はそれと同等かそれ以上に、「法の支配を歪める」「行政の安定的運営を損なう」という点においても極めて問題が多いと思っています。日本の行政が危機に瀕しているといっても過言ではありません。 表現の自由を大きく損ねる決定 まず「表現の自由」についてですが、不交付決定に関して文化庁が示している“公式な理由”はさておいて、その実質的理由が、「あいちトリエンナーレ2019」の一部である「表現の不自由展・その後」で議論
国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」をめぐり、文化庁が採択を決めていた補助金約7800万円全額を交付しない決定をしたことに対し、愛知県の大村秀章知事は26日、法的措置を取ることを表明した。 大村氏は記者団に対し、文化庁の決定について「正直言って驚いた。手順、手続きに従ってやってきて採択決定まで頂いている。それが抽象的な事由で一方的に不交付が決定されるのは承服できない。合理的な理由がない」と指摘。決定の取り消しを求め、国を訴える考えを明らかにした。 大村氏は25日、中止となった企画展「表現の不自由展・その後」の再開を目指す意向を表明した。その翌日に文化庁が不交付を決定したことに、「極めて関連性があるとしか思えない。昨日の(再開意向を表明した)私の発言に対する対応と思わざるを得ない」と述べた。国への法的措置について、大村氏は「表現の自由」を保障する憲法21条を争点にする考えも強調した。(
慰安婦を象徴する少女像などの展示をめぐって脅迫めいた電話などが相次ぎ一部の展示が中止された愛知県の国際芸術祭について、文化庁は、事前の申請内容が不十分だったとして、予定していたおよそ7800万円の補助金を交付しない方針を固めたことが、関係者への取材で分かりました。 愛知県で開かれている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」のうち「表現の不自由」をテーマにした企画展は、慰安婦を象徴する少女像などをめぐって脅迫めいた電話などが相次ぎ、先月、開幕から3日で中止されました。 「あいちトリエンナーレ」について、文化庁は、ことし4月、観光資源としての文化の活用推進を目的とした国の補助事業として採択し、およそ7800万円を交付する予定でした。 しかし一連の事態を受けて改めて検討を行い、愛知県からの申請は、少女像などの具体的な展示内容の説明がなく不十分だったとして、補助金を交付しない方針を固めたことが、関係者
まず、私の意見を申しますと、本件は法的に何ら問題のない展示物ではあったが、作品が示す政治的主張を受け入れられない人たちからの猛烈な反発があって、電凸などの「ソフトテロ」に見舞われて小展示自体が展示取りやめに追い込まれたものです。そうである以上、私は津田大介さんの展示を行う姿勢そのものには支持をしますし、表現の自由の観点からも、また、検閲の禁止からも、なるだけ作品の展示は続けられるよう各位が努力するべきものだったのだろうなあと思います。 津田大介さんはダブルスタンダードである以外、擁護されるべき、というのが私の考えです。 一方、愛知県が組成したあいちトリエンナーレの検証委員会は、その報告書で津田大介さんの美術監督としての責任を問う内容を示したということで、その内容が報道されました。 不自由展の混乱「最大の原因は芸術監督」 検証委が批判:朝日新聞デジタル https://www.asahi.c
9月2日、外国人特派員協会で行われた「あいちトリエンナーレ2019」の記者会見でディスプレーされた「平和の少女像」(Rodrigo Reyes Marin/アフロ) ●(人格として主体をもつ)「アーティスト」との契約であるべきところを(法人格のない任意団体と思しい)「委員会」を<みなしアーティスト>として契約しているらしいこと。 ●その、アーティストの皮を被った「委員会」にはアーティストは一人もおらず、評論家や編集者、大学教授などの集まりであったこと ●評論家や大学教授の集まりとノンプロの芸術監督が「キュレーション」を行い、16人の作家=作品を選び、そのセットをアーティストが一人もいない「委員会」の<作品>であるとして発表した。 これがどれくらい作家や作品を冒涜するのみならず、「表現の主体」を欠くトンデモない出来事であるか、確認するところからお話してみましょう。 極めて「全体主義的」な契約
国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(津田大介芸術監督)で中止となっていた企画展「表現の不自由展・その後」について、芸術祭実行委員会の会長を務める愛知県の大村秀章知事は25日、「条件を整えた上で再開をめざしたいと考えている」と表明した。記者会見での一問一答は以下の通り。 ◇ 検証委員会を開いていただきまして、先ほど中間報告をいただき、最後に再開に向けた提言をいただいた。条件が整い次第再開すべきと。最後に(私から)発言させていただき、「しっかりと承りました」と。条件が整い次第速やかに再開すべきであることを真摯(しんし)に受け止めて再開をめざしたい。検証委員会を切り替えて、条件整備についてご議論いただきたいということを改めてお願いさせていただいた。10月14日会期ということで、それまでにどう条件を整えるかご議論いただき、ご提言いただきたいということをお伝えさせていただいた。 10月14日
国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(津田大介芸術監督)の企画展「表現の不自由展・その後」の中止をめぐる愛知県の検証委員会(座長=山梨俊夫・国立国際美術館長)は25日、中間報告をまとめた。企画展の展示方法に多くの欠陥があったと指摘した上で、津田氏の責任に言及し、リスクを回避する仕組みが芸術祭実行委や愛知県庁に用意されていなかったと批判している。 報告によると、企画展が始まった8月1日からの1カ月間で電話やメールなどテロ予告や脅迫を含む計1万379件の抗議があった。「展示室内はおおむね冷静だった」が、「展示を見ていない人がSNS上の断片画像を見て」、県庁や県立学校などに「組織的かつ大量の電凸(電話による攻撃)攻撃に及んだ」と指摘。抗議を受けた中止は、「危機管理上の正当な理由に基づく」もので、「やむなしと考えられる」と認定した。 その上で、報告では、展示室が閉じられたまま芸術祭が閉会する
CIMAM(国際美術館会議)が「表現の不自由展・その後」について声明文を発表。「表現の自由が完全に損なわれている」ICOM(国際博物館会議)の提携組織であるCIMAM(国際美術館会議)が、「あいちトリエンナーレ2019」の一企画である「表現の不自由展・その後」の展示中止に対し、声明文を発表した。 ICOM(International Council of Museums 国際博物館会議)の提携組織であるCIMAM(International Committee for Museums and Collections of Modern Art 国際美術館会議)が、「あいちトリエンナーレ2019」内の「表現の不自由展・その後」展示中止に対し、声明文を発表した(全文は記事末尾に掲載)。名義はCIMAMの美術館監視委員会(The Museum Watch Committee)。 CIMAMは19
「あいちトリエンナーレ2019」の芸術監督、津田大介氏 「あいちトリエンナーレ2019」で「表現の不自由展・その後」が3日間だけ展示され撤去された問題を受けて、8月15日に津田さんは個人ブログでことの経緯とお詫びを発表した。それを読み同日、僕は以下のテキストをツイートした。 「アップリンクはあいちトリエンナーレに映像作品を出品している。アップリンクが日本での上映権を持つホドロフスキー監督のドキュメンタリー作品『ホドロフスキーのサイコマジック』だ。今日、9人のアーティストがトリエンナーレの出品を取り下げた。事務局の映像担当者から電話がかかってきた。次に何かしそうなのは浅井さんだからだという。取り下げるなんてことは考えもしていなかった。アップリンクは出品者なので、実は事件が起きてから8月7日に津田大介芸術監督から『「あいちトリエンナーレ2019」協賛企業・個人の皆様へ』という1万880字の長文
八月一日から十月十四日まで愛知県で開催され、筆者が芸術監督を務める国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」内の一企画「表現の不自由展・その後」を巡って、連日メディアがさまざまな観点から報道している。現在進行中の事象であり、筆者は当事者でもあるため、今回は自身の考えを述べるより、ファクトベースで整理することで、この複雑な問題を理解する手助けとしたい。 元々の発端は、トリエンナーレ開幕前日、七月三十一日の中日新聞、朝日新聞の朝刊で「表現の不自由展・その後」の具体的内容が報道され、その中に二〇一一年、在韓日本大使館前に設置された《平和の少女像》が含まれることが明らかになったことだ。一日に開幕してからは、同作品だけでなく、昭和天皇の肖像をコラージュした自作を燃やす映像作品を展示したことも含めて波紋を呼び、河村たかし名古屋市長や、松井一郎大阪市長が展示内容を批判。菅義偉官房長官は文化庁のトリエンナ
海外作家たちからの抗議が噴出 あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」の展示が中止となって、2週間ほどが過ぎた。 この間、参加作家72組による声明発表(8月6日)、韓国2作家の展示取り下げ(同日)、脅迫FAX犯の逮捕(8月9日)、「表現の不自由展・その後」実行委員会による展示再開申し入れ(8月13日)、展示中止に抗議する海外9作家が展示の一時取り下げを要求(8月14日)、脅迫メール770通について被害届提出(同日)、「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」第1回の開催(8月16日)などの動きがあった。 この中でもっとも重要なものを一つ上げるとすれば、やはり14日の海外9作家による展示一時取り下げ要求だろう。これは「表現の不自由展・その後」中止に抗議し、それが再開されるまでの展示取り下げを求めたものだ。 この要求が記された公開書簡は、6日の時点ですでに展示を取り下げていたイム・ミヌク
慰安婦問題や昭和天皇などを題材にした作品が物議を醸し、中止に追い込まれたあいちトリエンナーレの企画展「表現の不自由展・その後」。抗議と脅迫、政治家の“介入”――。この混乱は、日本社会の表現の自由に何を投げかけているのか。結局、企画展で何を問いたかったのか。津田大介さんがインタビューに応じた。 ――開幕3日で展示を中止するという判断をしましたね。作家から発表の場を、観客から鑑賞の機会を奪った形になります。正しい判断だったと思いますか。 「そう選択せざるを得なかったと思っています。企画展の関係者などに十分な説明をしないまま判断したことは、暴力的な行為であり、批判されても仕方ないことです。ただ、現場の職員が危機的な混乱に陥っていたことと観客の安全を考えれば、緊急的にあの手段を選ぶしかなかったと思います」 ――危機的な混乱、ですか。 「大量の抗議や脅迫の電話によって現場の組織機能が失われ、トリエン
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