“圧勝”の楽天モバイル、“虎の子”奪われる携帯3社 波乱となった「プラチナバンド再割り当て」(1/3 ページ) 携帯4社の中で楽天モバイルだけが保有していない、いわゆる「プラチナバンド」。その再割り当てに関する議論が総務省で進められていたが、大荒れの議論の末に出た報告書案では、楽天モバイルの意見がほぼ全面的に反映される結果となった。楽天モバイルと他の3社との意見には非常に大きな隔たりがあったにもかかわらず、なぜ楽天モバイルが圧倒的に有利な結論が出るに至ったのだろうか。 意見が真っ二つに分かれた再割り当て議論 携帯電話業界で1GHz以下の周波数帯を指す「プラチナバンド」は、障害物を回避しやすく建物の中や遠方に飛びやすいので、少ない基地局で広範囲をカバーできることから携帯電話会社にとって最も重要な周波数とされている。いわば「虎の子」だ。そしてそのプラチナバンドの免許を現在保有しているのは、NT
プラチナバンド再割り当てを巡って平行線の議論を続ける楽天モバイルと既存3社。アスキーの原稿で「もはや楽天モバイルに割り当てられるプラチナバンドは残っていない」と書いたところ、株式会社アゴラ研究所 代表取締役所長の池田信夫氏から「事実誤認。470~710MHzのうち192MHz空いている」と指摘をいただいた。 この記事について この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2022年11月5日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。 実際、地上波テレビ放送に割り当てられているプラチナバンドには、使っていないホワイトスペースが多く、うまいことまとめれば、新たに192MHzもの空き地ができるというのだ。 ただ、問題なのは余っているプラチナバンドがあっても、3GPPが割り当ててい
大きな話題となった楽天モバイルの月額0円プラン廃止。7月1日から最低月額利用料が全ユーザー1078円からに引き上げられるが、その経緯を説明する際に電気通信事業法に抵触するおそれがあったとのコメントが会見で出た。そのことから月額0円をやめた理由とする報道も一部で出ている。 結論から言うと、電気通信事業法に抵触する可能性があったのは、0円スタートの既存プランと、1078円スタートの新プランが“併存”することに対するもの。同社代表取締役会長の三木谷浩史氏も「既存ユーザーは当面(UN-LIMIT VIを)使って頂く予定だったが、法律的にだめだった」としており、併存に対して問題があったとする。つまり月額0円スタートのプラン自体が法に触れたわけではない。 楽天モバイルのプランは、バージョンが異なるものの「ワンプラン」のみの提供にこだわっており、基本的に1プランしか存在しない。しかし、同じプランでありな
楽天モバイルで米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」を使っている利用者の間で着信ができない不具合が発生している問題で、総務省が早期の原因究明と解消を求めたことが17日、分かった。楽天側は事態を把握しており、総務省にも利用者から苦情が寄せられている。消費者の声にどう対応するか、公益性の高い携帯電話事業者としての姿勢が問われそうだ。 不具合は、楽天モバイルの回線でアイフォーンを利用した場合、電話を受けても着信の表示が出ないというもの。「反応なく留守番電話に切り替わる」などという、電話をかけた人の書き込みが夏ごろからネット上に相次いでいる。 同社の端末は通話が無料になる独自の通話アプリと、端末に標準搭載されている通話アプリの2種類が使えるようになっている。アイフォーン以外は独自アプリに自動的に着信するが、アイフォーンは今年7月から、楽天モバイル以外からの着信は標準アプリで受け
NTTがNTTドコモを完全子会社にすることについて、KDDI、ソフトバンクそれに楽天などの通信事業者が公正な競争環境の整備などを求め、意見書を総務省へ提出しました。 これは、KDDI、ソフトバンク、楽天の3社が共同で会見して明らかにしました。 NTTは4兆2000億円余りを投じ、NTTドコモを完全子会社にすることを発表していて、今月16日を期限にTOB=株式の公開買い付けが進められています。 3社を含む通信事業者28社が総務省に提出した意見書では、NTTドコモがNTT東日本・西日本が持つ光ファイバーのネットワークの利用で優遇されるなどの懸念が生じるとしています。 また、NTT東日本・西日本とNTTドコモが実質的に一体化することで、巨大な市場支配力によって競争する事業者が排除されるなど、公正な競争環境が阻害されるおそれがあるとしています。 このため、審議会などの公開の場で競争する事業者や有識
楽天が11月7日に開催した、2019年度第3四半期の決算説明会で、楽天モバイルが10月に開始したMNOサービスの進捗(しんちょく)が明らかになった。 総務省から指導を受けるほど、基地局の開設に遅れが見られていたが、タレック・アミンCTOは「基地局の開設は、数カ月の間に大きな進捗が見られた」と話す。2019年12月末までに3000局が電波を発射予定で、2020年3月までに3432局を開設するという目標に向けて着実に遂行しているとした。ちなみに2019年12月末までに、4500局は契約締結予定、6500局は口頭内諾を受ける予定だという。楽天の三木谷浩史社長は「当初よりも前倒しで完了する手応えは得ている」と話す。なお現時点の基地局開設数は公表していない。 5000人限定の試験サービス「無料サポータープログラム」の開通率は、10月17日の82%から、11月4日には98.3%まで向上した。同プログラ
携帯大手の新料金プランが出そろった9月中旬。官房長官の菅義偉(70)が漏らした。「総務省はなめられてるんじゃねえか」通信料と端末代の完全分離を義務付けた改正電気通信事業法の施行が10月1日に迫っていた。菅が昨夏「4割程度下げる余地がある」と表明した値下げを裏打ちする法律だ。しかし、新プランはどれも4割下げの期待からほど遠かった。菅を落胆させたのは次の2つの点だ。一つは購入後100日はSIMロ
新品の青いスマートフォンを一日何度も確認するのが習慣になっている総務省の電気通信事業部長の竹村晃一(54)。楽天モバイルの電波状況を確認するために借りた端末だ。総務省が入る霞が関の中央合同庁舎2号館はローミング契約するKDDIの通信網につながり、動画の視聴も問題ない。しかし外に出た途端、電波が不安定になる。都心で途切れることもあった。華々しく参入を発表し、2018年4月に総務省から電波の割り当
「第4のキャリア」を目指している楽天は9月6日、10月に予定していた携帯電話事業への本格参入の先送りを発表した。当面は利用者を東京23区や大阪市、名古屋市、神戸市在住の5000人に絞り、音声通話やデータ通信ができる試験サービスを来年3月末まで無料で提供する。 楽天の三木谷浩史会長 ©共同通信社 本格参入が遅れた直接の原因は、基地局整備の遅れで、行政指導を3回受けている。楽天は3432カ所の基地局を来年3月末までに設置する予定だが、現時点では約6分の1の586局にとどまる。 ソフトバンク幹部が言う。 「やっぱりという感じです。うちは後発で基地局が少なかったため、参入後しばらく、つながりにくいという批判を受けました」 そこで街中に基地局を設置しようとしても用地確保の難しさに直面した。 「ようやく用地を見つけても、他社より高い賃料を要求された。楽天も同じ目に遭っているはずです」(同前) 楽天の三
2019年10月から携帯電話事業に新規参入する楽天モバイルに対し、競合他社から不満の声が上がっている。同社が9月6日の発表会で正式な料金プランを発表しなかったからではない。NTTドコモやKDDI(au)の回線を活用して展開中の「格安SIMサービス」を縮小するどころか、今後も拡販する意欲が満々だったからだ。 楽天モバイルはこれまで、携帯電話大手から通信設備を借りる「MVNO(仮想移動体通信事業者)」だったが、新たな周波数の割り当てを受けて2019年10月以降は通信設備を自ら保有する「MNO(移動体通信事業者)」となる。MVNOとMNOの「いいとこ取り」は許すべきではないというのが競合他社の主張だ。 利便性を理由に当面は継続? 楽天モバイルはMNOサービスを始める2019年10月以降も「顧客の利便性を優先してMVNOサービスを継続する」(大尾嘉宏人常務執行役員)。MNOサービスと同様、MVNO
楽天の三木谷浩史社長。世界初のフル仮想化ネットワークによるキャリア参入は世界から注目を集めている。技術は生み出せても、基地局を建てる「用地」はそう簡単に確保できない。楽天の悩みは深い(MWC2019にて撮影)。 撮影:石川温 8月8日に開催された楽天の決算会見で、基地局建設の進捗について聞かれた三木谷浩史社長は「10月のローンチまでには完全に間に合う」としていた。 楽天では今年度末までに3432局の基地局を整備する計画を総務省に提出しているが、8月27日現在、総務省の「電波利用ホームページ」によると、検索しても全国に566局しか出てこない(電波利用ホームページは情報更新が遅いため、実際はもう少し数が多いと思われる)。 具体的に見ていくと、港区は66局あるものの、墨田区は3局、北区は2局、葛飾区は1局とかなり心もとないところも見受けられる。
総務省が8月23日、今秋に改正を予定している、電気通信事業法の省令案等に関する意見募集の結果と、それに対する総務省に対する考えを発表した。改正法では、「通信料金と端末代金の完全分離」と「行きすぎた囲い込みの是正」が大きな柱になっており、分離プランの義務化、解約金を1000円とすること、端末割引を2万円までとすること、といった規制が盛り込まれている。 意見はキャリア、MVNO、メーカー、消費者団体、個人などから提出されているが、省令案に反対の意向を示しているのがAppleだ。NTTドコモと楽天モバイルは、「公正な競争を促進する」「モバイル市場全体が活性化する」との理由で、省令案全体に賛成の意向を示しているが、Appleは明確に「反対」としている。 Appleは「さまざまな要望を持つユーザーに対し、多種多様な製品と価格帯のモデル(iPhone)を用意しており、健全な市場では、さまざまな選択肢が
総務省は今秋までに導入する「通信料金と端末代金の完全分離」について、新規参入の楽天モバイルネットワークを適用の対象から除外する方向で検討していることが、日経 xTECHの調べで分かった。NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの大手3社が端末購入補助を封じられる中、楽天にとっては大きな追い風となりそうだ。 総務省は、新規参入の楽天が既存の大手3社に比べて著しく不利な点に配慮した。携帯電話全体に占める楽天の契約数シェアが一定の比率に達するまでは、一定の端末購入補助や期間拘束を認める考えだ。 楽天の契約数シェアがどの水準に達した時点で適用の対象とするかは今後詰めるが、事業者間の競争関係に一定の影響を及ぼす規模となっていることが大前提となる。少なくとも10%以上の水準とするのが濃厚とみられる。 楽天は現在、MVNO(仮想移動体通信事業者)として格安SIMサービス「楽天モバイル」を手掛ける。M
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