夜型の生活をしがちな人間なのに、夜にあまり活動しない。 これは単純に「生まれ育った場所が田舎だったから」というのが大きな要因だと思っている。実家は鎌倉市の端っこにあり、しかも山の中腹で、日が沈んで暗くなったら一気に人通りが減る地域だった。 子どもの頃はまだよかった。第二次ベビーブームのちょっと下の世代だったので、公園には子どもたちが多くいたし、住宅建設ラッシュが始まる前であちこちに空き地があり、遊ぶ人は多かった。それでも日が沈めば一気に人の気配は消える。変質者が多くて、夕暮れ時には露出狂が出没する時代でもあった。 夜は怖いものだという意識がすり込まれたまま大人になった。最初に就職した会社はシフト制で、鎌倉から東京まで通っていたので、遅番の担当になれば帰り時間は23時を過ぎる。ぽつんぽつんと立っている街灯を頼りに駅から家へまっすぐ歩いた。寄り道をするような場所はなかった。 子どもの頃は長い夜