ジョン・ロンスン『実録・アメリカ超能力部隊』(文春文庫) ジョン・ロンスン『実録・アメリカ超能力部隊』(文春文庫)を読んだ。 超能力研究は馬鹿げた行為だが、戦争ほどではない。「我々には戦争ができるのだから、超能力研究もできるだろう」と軍が考えるのは、ある意味では理にかなっている。 超能力研究も戦争も、昔はまだ、今ほど馬鹿げてはいなかった。ユリウス・カエサルはガリアでの戦争に勝ちまくって財を成した。16世紀に至っても、コンキスタドールはアメリカ大陸で同じことをした。19世紀の医学・生物学は、感染症なるものをついに人類に理解させ、地上の全面を塗り替えた。感染症のように単純かつ重大なことを、どういうわけか人類がずっと理解しないでいたのなら、心霊や超能力をいまだに理解しないでいる、ということもありうるのではないか――と、1900年の人々は考えただろう。 感染症は、おそらく人類にとって最後の、でかい