松波晴人さんの『ビジネスマンのための行動観察入門』は、以前「キャスト」に出演していたときに大阪ガス行動観察研究所の特集を目にしたことがあったので、その当事者の著作と言うことで期待して読んだ。が、面白くないわけではないものの、期待の方向とは違ったかなという印象。 その原因は主に3つ。一点目は、著者自身の体験や現場報告が主で、心理学に基づく科学的知見というよりは、泥臭い現場で行動観察という手法をどうやって受け入れてもらったかという話が中心だったこと。実際、この分野の話が初めてという読者を相手にするには他に選択肢はないのだけど、ともすれば行動観察というよりは体力で稼ぐコンサル的な仕事の印象が残り、科学的手法としての行動観察のPRという意味ではマイナスなのではないかという印象を持った。 二点目は、それと関係するけど現場報告が主であるということは、結果的に現場性の高い事例が中心になるわけで、読んだ人