手元に、東京天文台が編集した理科年表(※)の復刻版があります。大正十四年(1925)発行・初版本となっていますが、この中に当時の”平均気温”が掲載されています。その頃は「平年」という概念が無かったようで、気温の表題は「本邦各地ノ平均気温」となっています。何年間を平均したのか記載がありませんが、当時の気温は現在と比べて、驚くほど低くなっています。 例えば東京の場合、1月の月平均気温は3.1度で、最低気温の平均は氷点下1.3度でした。現在より2度以上も低く、真冬の場合は最低気温が0度を超える日の方が少なかったのです。一方、8月の最低気温の平均は22.1度で、熱帯夜などほとんどありませんでした。温暖化や都市気候の影響を受けて、この100年間はものすごい勢いで気象が変わってきているのです。 こうした気象の変化を感じ取るのに重要なのが「平年値」です。そしてその「平年値」が、5月19日から10年ぶりに