その名も「猫のための音楽」。米ワシントン・ナショナル交響楽団と一緒にソロ演奏しているデービッド・タイが、動物科学者と組んで「猫のための音楽」シリーズを開発、制作している。いくつか聴いてみる。ズーンズン、ブーンブン、ウィーン、トン、テン ……ゆっくりと低音のビブラートの波が寄せる。陽気なリズムになったり、時にキーキーと弦楽器が高音をリズミカルに奏でたり。人間の耳には宇宙に漂うような、時に眠気を催すような感じの曲である。 猫好きの人は、自宅に愛猫を残して外出する際、よくラジオや音楽プレーヤーをかけて出る。猫も人間同様、クラシックやカントリーミュージック、あるいはNPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)の司会者が語りかけるあの詩的な口調が好きに違いない、と思い込んでのこと。だが、残念ながら猫の耳は人間と同じではない。 「わたしたちは大して考えもせずに、猫に音楽を聞かせている」とチャールズ・スノー