「あいちトリエンナーレ」における「表現の不自由展・その後」にまつわる一連の出来事をはじめ、日本赤十字社の献血を呼びかけるポスターへの批判、あるいはヘイトスピーチなど、2019年はこれまでも繰り返し話題となってきた「表現の自由」が特に注目された年だった。 ネット社会ではめまぐるしく様々な「問題」が噴出し、誰もがその「問題」について語ることができる。しかしわたしたちはそれらひとつひとつについて、どれだけねばり強く思考できているだろうか? そんな自問自答のような疑問からはじまったこのいちウェブメディアの企画は、「あいちトリエンナーレ」に端を発した「表現の自由」にまつわる議論の中では後発となったかに見えたとして、図々しくも出発点たらんとすることを目指している。 「表現の自由」と一口に言ったところで、その言葉はあまりに抽象的だ。問題はいつも具体的なかたちで現れる。法律の問題として、芸術の問題として、