文化ファッション大学院大学教授 櫛下町伸一 現代の男性ファッションは、様々なバリエーションに溢れており、各人各様、自由な着こなしを楽しんでいます。職業の幅が広がり、それに伴う服装の選択肢もバラエティに富んで、何を身につけるかは個人の判断に任されます。情報化社会になりグローバル化が進むにつれて、ファッションの情報は世界中を駆け巡り、服装の自由化はさらに加速を増しています。その反面、「着こなし」や「マナー」といった服装にまつわるルールがおろそかになったようにも思えます。服装の簡略化、いわゆるカジュアル化が進むにつれて、その傾向はますます顕著になってきました。きょうは、礼節とか信頼性、社会性といった男性服の本質を、長い間かたくなに保ち続け、いまだに進化を続ける不思議な西洋服についてお話します。 そもそも、この「スーツ」スタイル、150年前はどんな形をしていたのでしょうか。 これが「ラウンジ・ス