表彰式での君が代大合唱に、稀勢の里は涙でクシャクシャになった。「自分の力以上のものが出た。見えない力が働いた」。荒れに荒れた春場所の最後、大きなドラマが待っていた。優勝決定戦に持ち込むには勝つしかない本割。手負いの新横綱を鼓舞する手拍子の中、真っ向勝負が身上の稀勢の里が右に変わった。照ノ富士に差されて頭をつけられたが不成立。2度目の立ち合い、「同じことはできない」と左に飛んだ。頭を下げての懸
表彰式での君が代大合唱に、稀勢の里は涙でクシャクシャになった。「自分の力以上のものが出た。見えない力が働いた」。荒れに荒れた春場所の最後、大きなドラマが待っていた。優勝決定戦に持ち込むには勝つしかない本割。手負いの新横綱を鼓舞する手拍子の中、真っ向勝負が身上の稀勢の里が右に変わった。照ノ富士に差されて頭をつけられたが不成立。2度目の立ち合い、「同じことはできない」と左に飛んだ。頭を下げての懸
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稀勢の里の優勝、長い長い長い間の重圧を思うと、この安堵と喜びは、稀勢とともに落胆し続けてきたファンにしかわからないものもあると思う。入門時から横綱候補と言われてきたその才能と努力がようやく報われたことを心から祝福したい。稀勢の里関もファンの方もおめでとうございます。 しかし、それと横綱昇進とは別問題だ。私はただただ唖然としている。40年相撲を見てきて、こんな事態は初めてだ。 いくつもの問題が重なっているのだが、まず最も不可解なのが、どうして昇進できるのか、その基準が明確に示されていない点だろう。昨年の年間最多勝であること、安定した成績や優勝争いの多さ、優勝次点の多さなど、理由はいくつも挙げられているが、問題はそれらの成績は今まで横綱昇進の条件として顧みられたことはほとんどない、ということ。 横綱昇進の基準は、1987年の双羽黒の廃業以前と以降とで分けられる。双羽黒(北尾)の廃業以降は
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