先日、シティグループとウェルズ・ファーゴが公的資金の返済計画を発表したことにより、アメリカ金融大手6社すべてが、政府の支援を離脱する見通しとなった。アメリカの金融危機は、重要なターニング・ポイントを回ったことになる。 昨年の今頃、アメリカ金融危機が一挙に拡大するなかで、「アメリカ型金融資本主義は終わった」ということが盛んに言われた。政府による金融機関への公的資金投入によって「アメリカは社会主義になった」という意見も聞かれた。公的資金完済は、こうした見方が正しくなかったことを意味するものだ。 強行された公的資金注入 まず、公的資金に関するこれまでの経緯を振り返ってみよう。 アメリカ財務省は、2008年10月から、金融安定化法に基づいて、7000億ドルの公的資金枠から公的資金を大手金融機関に注入した。このときの様子は、ジリアン・テットの著作『愚者の黄金』(平尾光司監訳、土方奈美訳、講談社、20