前代未聞の事態となった中央自動車道・笹子トンネル事故。懸念されてきたインフラ老朽化問題が最悪の形で顕在化した。悲鳴を上げるインフラは、日本経済を一段と苦しめかねない。 「考えられる最悪の事態」 ある大手ゼネコン関係者は表情をこわばらせる。12月2日、山梨県の中央自動車道・笹子トンネルで起きたコンクリート製天井板の崩落事故。1枚1トンを超す巨大な天井板が、およそ110mにわたって無数に落下し、複数の自動車を乗員もろとも押しつぶすという極めて深刻かつ痛ましい被害をもたらした。 今回の事故では、天井板を吊る金具の脱落で、天井が崩落したもよう。この吊り金具の老朽化が主因だったと見られる。金具は吊り天井から高さ5mの暗い場所に設置され、「非常に点検作業がしにくい環境」とゼネコンや道路会社の関係者は指摘する。 実際、中央道を管理運営する中日本高速道路も目視による点検のみで、ハンマーを使った「打音点検」