ブックマーク / sorae.info (16)

  • 天の川銀河と合体した銀河の痕跡を新たに発見 「シャクティ」と「シヴァ」と命名

    初期の天の川銀河は、複数の小さな銀河が合体して誕生したと言われています。近年、恒星の位置や運動方向に関する大規模なデータが揃ったことにより、合体した銀河の痕跡を具体的に知ることができるようになりました。 マックス・プランク天文学研究所のKhyati Malhan氏とHans-Walter Rix氏の研究チームは、大量の恒星が記録されている「ガイア」と「スローン・デジタル・スカイサーベイ」のデータを組み合わせて分析し、合体した銀河の痕跡を探りました。その結果、今から約120~130億年前という極めて初期の時代に天の川銀河と合体したと推定される、2つの銀河の痕跡を発見することに成功しました。両氏はこれらの銀河をヒンドゥー教の神話に因み「シャクティ(Shakti)」と「シヴァ(Shiva)」と名付けています。 【▲ 図1: 天の川銀河におけるシャクティ (ピンク色) とシヴァ (緑色) に属する

    天の川銀河と合体した銀河の痕跡を新たに発見 「シャクティ」と「シヴァ」と命名
  • 過去の地球の公転軌道は “予想以上” に予測困難 恒星接近を考慮したモデルで検証

    地球の公転軌道は長い時間の中で少しずつ変化することが知られており、過去に起きた極端な気候変動の原因となっているのかもしれません。しかし、公転軌道の変化を数学的に解析することは困難であり、過去の公転軌道を正確に予測できるのは5000万~1億年前までが限界であると考えられてきました。 しかし、オクラホマ大学のNathan A. Kaib氏とボルドー大学のSean N. Raymond氏によれば、地球の公転軌道を正確に予測できる期間はさらに約10%ほど短くなるようです。これまでの計算ではあまり考慮されていなかった、太陽系の近くを恒星が通過したことで巨大惑星の軌道が乱される影響を考慮した両氏は、5000万年より短い期間であっても正確な軌道予測が困難であることを突き止めました。 【▲図1: 恒星HD 7977の接近を考慮した地球の公転軌道の変化の計算結果。1点1点が、特定の時点での公転軌道の性質 (

    過去の地球の公転軌道は “予想以上” に予測困難 恒星接近を考慮したモデルで検証
  • 【速報・更新】JAXA月探査機「SLIM」月面で夜を越すことに成功 コマンド送信に応答

    宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年2月26日13時半頃、X(旧Twitter)の小型月着陸実証機「SLIM」プロジェクト公式アカウントにて、着陸地点が夜を迎えるため休眠状態に入っていたSLIMが夜を越してコマンド送信に応答したと発表しました。SLIMの運用は通信機器の温度が下がってから再開できるように準備が進められる予定です。【最終更新:2024年2月27日10時台】 【▲ 参考画像:小型月着陸実証機「SLIM」から放出された探査ロボット「LEV-2(SORA-Q)」のカメラで撮影された画像。大きく傾きつつ接地した状態のSLIMが右奥に写っている。画像は試験画像で、もう1機の探査ロボット「LEV-1」経由の試験電波データ転送により取得されたもの(Credit: JAXA/タカラトミー/ソニーグループ(株)/同志社大学)】SLIMは日時間2024年1月20日0時20分頃に日の探

    【速報・更新】JAXA月探査機「SLIM」月面で夜を越すことに成功 コマンド送信に応答
  • 約7億年前の全球凍結「スターティアン氷期」はなぜ起きた? その謎に迫る研究

    地球はその歴史の中で、表面全体が氷河に覆われる「全球凍結(スノーボールアース)」が何度か起こったと推定されています。しかし、なぜ全球凍結が起きたのか、またどのように “解凍” されたのかについてのメカニズムはほとんど分かっていません。 約7億年前に起こったとされる全球凍結レベルの極端な氷河期「スターティアン氷期」の発生原因を、地質記録とシミュレーションによって調査したシドニー大学のAdriana Dutkiewicz氏などの研究チームは、火山からの二酸化炭素放出量が少なくて岩石の風化による二酸化炭素の吸収が多かったために、大気中の二酸化炭素濃度が現在の半分以下まで減少したことが原因であると推定した研究成果を発表しました。興味深いことに、この状況は遠い未来に地球で起こる状況と似ています。 【▲図1: 全球凍結した地球の想像図(Credit: Oleg Kuznetsov)】■赤道すら凍りつく

    約7億年前の全球凍結「スターティアン氷期」はなぜ起きた? その謎に迫る研究
  • 「天王星」と「海王星」の “真の色” を確定 色から見る大気の詳細な情報

    惑星の外観について、「天王星は空のような薄い青色」「海王星は海のような深い青色」というイメージが一般的と思われます。しかし、公開されている天体の画像は様々な事情で補正がかけられていることもあるため、実際に人間の目で見た状況を正確に反映しているとは限りません。 オックスフォード大学のPatrick Irwin氏などの研究チームは、独自開発した惑星の色モデルに「ハッブル宇宙望遠鏡(HST)」と「超大型望遠鏡(VLT)」の観測データを適用し、天王星と海王星の肉眼的に最も正確な“真の色” を確定しました。その結果、天王星と海王星の “真の色” は緑色を帯びた淡い青色であり、海王星のほうがわずかに青色が強いことを除けばほとんど区別できないほどそっくりであることがわかりました。 今回の研究は、長年の天王星と海王星のイメージを変えるだけに留まらず、天王星の極地と赤道の環境の違いといった、観測が難しい遠方

    「天王星」と「海王星」の “真の色” を確定 色から見る大気の詳細な情報
  • 金属「ナトリウム」が高圧で透明な絶縁体となる理由を解明

    惑星内部のように極端な高圧環境では、物質の性質は大幅に変化します。多くの物質は電気を通す金属のような性質を持つようになりますが、一部の物質は電気を通さない絶縁体になるなど、傾向に当てはまらない場合もあります。 ニューヨーク州立大学バッファロー校のStefano Racioppi氏などの研究チームは、高圧で絶縁体になることが知られている金属「ナトリウム」について、電子の配置をスーパーコンピューターを使って計算することで、絶縁体になる理由を探りました。その結果、従来の考えとは異なり「高圧電子化物(High-Pressure Electrides)」となることが絶縁体になる理由であることが判明しました。高圧環境下での物質の性質には謎が多く、このノウハウは他の物質の研究でも生かされるでしょう。 【▲図: 鉱物油中に保存された金属ナトリウム。他の金属と同じく、よく電気を通す導体で、不透明です(Cre

    金属「ナトリウム」が高圧で透明な絶縁体となる理由を解明
  • 中世に起きた大規模噴火の時期を皆既月食の暗さから推定

    14世紀半ばから19世紀半ばにかけて、地球は平均気温が低い「小氷期」と呼ばれる期間にあったと推定されています。小氷期は様々な原因が推定されていますが、大規模な火山噴火がその1つであったことは間違いないと考えられています。大量の火山灰と火山ガスを放出する火山は、鉱物粒子や硫酸を大気の上層に送り込みます。これらは何年も落下することなく空中を漂い続け、太陽光を遮断・反射するため、地表の気温が下がるのです。 しかしながら、小氷期が始まるきっかけになったかもしれないと推定される、14世紀半ばよりも前の噴火記録ははっきりしません。過去の噴火を推定する時は、一般的に南極やグリーンランドの氷床に閉じ込められた火山由来の物質が調べられますが、この時代の氷床記録はあいまいなのがその理由です。 【▲ 図1: 1992年12月9日(左)と2018年1月31日(右)に発生した皆既月の写真。約1年半前の1991年6

    中世に起きた大規模噴火の時期を皆既月食の暗さから推定
    agrisearch
    agrisearch 2023/05/02
    「藤原定家…明月記には1229年12月2日(寬喜元年11月15日)の皆既月食に関する…今回のように月の円盤が見えず、まるで月食中に消えてしまったかのようになるのは、年寄りも見たことがなかった」
  • 火星の生命は“休眠状態”で生き残っている可能性が判明

    かつて運河を築く高度な文明が存在するとさえ言われていた「火星」は、1965年にフライバイ探査を行ったアメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査機「マリナー4号」による表面の撮影によって、実際には不毛の惑星であることが明らかになりました。火星表面は極度に乾燥した薄い大気、滅多に0℃を上回らない気温、大気や磁場による宇宙線や太陽風からの保護がほとんどないことによる “吹きっ晒し”、砂や岩石の表面にある細胞に有害なフリーラジカルと、どれをとっても生命には過酷すぎる環境です。 一方で、火星探査が進むにつれて、かつての火星は現在ほど過酷ではなかった可能性も見えてきました。現在では、過去の火星には現在の地球の50%ほどの濃い大気が存在し、深さ1000m以上にもなる海が表面を覆っていたと考えられています。この穏やかな気候は10億年以上続いたと推定されています。地球の生命は地球誕生から7億年前後で誕生したと

    火星の生命は“休眠状態”で生き残っている可能性が判明
  • 宇宙から観測された“農地のパッチワーク”。欧州宇宙機関が画像公開

    【▲ ESAの地球観測ミッション「センチネル-2」で観測されたテキサス州ヘレフォード(Credit: contains modified Copernicus Sentinel data (2019), processed by ESA, CC BY-SA 3.0 IGO)】こちらは欧州宇宙機関(ESA)の地球観測衛星が捉えた、アメリカ合衆国テキサス州ヘレフォード近郊の様子です。この地域は半乾燥気候ですが、地下の広大な帯水層(オガララ帯水層)から汲み上げた水を灌漑に利用して、トウモロコシ、小麦、大豆、玉ねぎといった農作物が栽培されています。 ESAによるとこの画像には、2019年3月17日~4月21日の期間に地球観測ミッション「Sentinel(センチネル)-2」で取得された正規化植生指数(NDVI※)のデータが用いられています。色は地上の植生の状態を示していて、赤・黄・緑は植生の成長の変

    宇宙から観測された“農地のパッチワーク”。欧州宇宙機関が画像公開
    agrisearch
    agrisearch 2022/02/20
    「地球観測ミッション「Sentinel(センチネル)-2」で取得された正規化植生指数(NDVI※)のデータ…農地の多くには円形の模様が現れています。これは「センターピボット」と呼ばれる灌漑システム特有の光景です」
  • 3000万光年先の銀河「M51」に存在するかもしれない太陽系外惑星の候補が報告される

    【▲ X線連星「M51-ULS-1」を公転する系外惑星の想像図。ブラックホールもしくは中性子星(中央)には大質量星(右)から落下したガスによって降着円盤が形成されており、その手前を系外惑星が横切る様子が描かれている。画像では連星のすぐ近くを系外惑星が公転しているように見えるが、実在すれば太陽から土星までの距離の2倍程度(約20天文単位)離れているとされる(Credit: NASA/CXC/M. Weiss)】ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのRosanne Di Stefanoさんを筆頭とする研究グループは、渦巻銀河「M51」にある連星「M51-ULS-1」の周囲に太陽系外惑星が存在する可能性を示した研究成果を発表しました。M51(NGC 5194)は「りょうけん座」の方向およそ3000万光年先にあり、近くにある銀河「NGC 5195」とあわせて「子持ち銀河」とも呼ばれています。

    3000万光年先の銀河「M51」に存在するかもしれない太陽系外惑星の候補が報告される
  • 天の川銀河中心部からの謎の電波を検知 奇妙な点滅・増減を繰り返している

    【▲ 私達の天の川銀河の中心部から奇妙な点滅・増減を繰り返す謎の電波を放射する天体のイメージ図(Credit: the University of Sydney./Sebastian Zentilomo.)】オーストラリアのシドニー大学は10月12日、シドニー大学物理学部博士課程の学生であるZIteng Wangさん率いる研究チームが、ASKAP(Australian Square Kilometre Array Pathfinder)電波望遠鏡の観測データを使って、私達の天の川銀河の中心部から奇妙な点滅・増減を繰り返す謎の電波がやってきていることを検知したと発表しました。この電波の特徴は既知の変光する電波源とは一致せず、この電波を放射している天体については全く正体不明だといいます。 研究チームが今回検知した電波には奇妙な特徴がいくつかあります。 まず、不規則に点滅を繰り返し、その強さも弱

    天の川銀河中心部からの謎の電波を検知 奇妙な点滅・増減を繰り返している
  • 恒星の種類によるハビタブルゾーンの違いを解説した図表

    ハビタブルゾーン(ゴルディロックスゾーン)の恒星種類別比較図表ハビタブルゾーン(地球型生命が居住できる可能性のある領域)はゴルディロックスゾーンとも呼ばれ、恒星の周りを公転する惑星の表面に、液体の水が存在できるような、暑すぎたり寒すぎたりしない温度の領域のことです。 この図表では、太陽のような黄色のG型星、オレンジ色のK型星(橙色矮星)、赤色のM型星(赤色矮星)の3種類の恒星が比較されています。K型星とM型星は、どちらも太陽より表面温度が低く、太陽ほど明るくありません。 図表上段のM型星には、恒星のすぐ近くに小さなハビタブルゾーンが存在します。また、寿命は1,000億年ほどの長寿の星で、天の川銀河にある星の約73%を占め、とてもたくさん存在する星です。しかし、非常に活発な磁場を持っているため、生命に有害な放射線を多く出している可能性があります。そのX線の放射量は、静穏時の太陽の400倍と推

    恒星の種類によるハビタブルゾーンの違いを解説した図表
  • 土星に近づく大迫力の動画。CGじゃなくカッシーニが見た本物の映像

    (In Saturn’s Rings公開のオリジナル動画:https://youtu.be/UgxWkOXcdZU) もし宇宙船に乗って土星に近づくことができたらどのように見えるのでしょうか? 土星探査機カッシーニは2004年に土星に到着するまでの間に数千枚、土星軌道に入ってからは10万枚以上の画像を撮影しました。それらのうち初期の画像の一部をもとに、映画でもよく見かける「IMAX」形式(IMAX社が開発した規格)で作られた動画が公開されています。作成したのは「In Saturn’s Rings」というプロジェクトです。 動画では土星だけではなく土星の衛星である「タイタン」、大きなクレーター(ハーシェル・クレーター)を持つ「ミマス」、そして厚い氷に覆われ、間欠泉がある「エンケラドス」も順に見ることができます。また、中盤ではカッシーニが土星の環の近くを横切るように移動していき、土星の環が非常

    土星に近づく大迫力の動画。CGじゃなくカッシーニが見た本物の映像
  • ベテルギウスの減光がついにストップ。増光の兆しを見せる

    同じ条件で撮影されたベテルギウスの比較画像。左は2016年2月、右は2019年12月31日に撮影。背景の星々は変わらないが、ベテルギウスは右のほうが暗い(Credit: Brian Ottum/EarthSky)昨年2019年後半から急速に暗くなり始めたオリオン座の赤色超巨星「ベテルギウス」。ベテルギウスはいつ超新星爆発が観測されてもおかしくないとされており、いよいよその時が近づいたのかと話題になっていましたが、直近の観測では昨年から続いていた減光が止まり、増光に転じつつある様子が明らかになっています。 ■最も暗くなったのは2月10日前後、1.6等で底を打つEdward Guinan氏(ビラノバ大学、アメリカ)らの研究チームが国際天文電報(ATel)を通じて報告した内容によると、ベテルギウスの実視等級は2月7日から13日にかけて約1.6等で底を打ち、その後は徐々に明るくなっています。201

    ベテルギウスの減光がついにストップ。増光の兆しを見せる
  • ブラックホールはどう見える? NASAが新しいシミュレーション動画を公開

    ブラックホールの見え方をシミュレートした想像図(静止画)NASAは9月26日、ブラックホールの見え方を視覚化した一連のシミュレーション動画を公開しました。こちらはそのひとつで、ブラックホールを横から観察するとどのように見えるのかをシミュレートしたものになります。 ■見えているのは「吸い込まれかけたガス」が輝く降着円盤といっても、光さえも抜け出すことができないブラックホールを直接見ることはできません。オレンジ色に輝いているのは、ブラックホールに吸い込まれかけている高温のガスなどが高速で周回する「降着円盤」と呼ばれるもの。円盤と名付けられてはいますが、その中心にはブラックホールがあるので、実際には幅の広い輪のような構造をしていると考えられています。 動画では、左向きに回転している降着円盤をやや斜め上から見下ろしたときの様子が再現されているのですが、右からブラックホールの裏側に回り込んでいくはず

    ブラックホールはどう見える? NASAが新しいシミュレーション動画を公開
  • 土星の環ができたのは「つい最近」の可能性、カッシーニ観測成果で浮上

    土星を彩る環は、従来考えられていた「45億年前の太陽系初期に形成された」という説を大きく覆し、ほんの2億年前にできた可能性がある--2017年9月に最後の科学観測「グランドフィナーレ」を行って観測を終了したNASAの土星探査機「カッシーニ」の成果からそうした説が浮上した。12月11~15日に開催されたアメリカ地球物理学連合(AGU)の秋季大会で発表され、『サイエンス』誌が報じた。 土星には7つの環があり、内側から順にD、C、B、A、F、G、Eとアルファベットの名がつけられている。この環の中で主要な部分を占める「Bリング」と呼ばれる部分は、全体で大きな質量を持つと考えられ、それだけの環の材料を供給できるのは、45億年前の太陽系初期に数多く存在した微惑星だとされてきた。あるいは、40億年前に「後期重爆撃期」と呼ばれる太陽系内の天体の軌道が不安定になった時期に、惑星サイズにはならなかった天体が大

    土星の環ができたのは「つい最近」の可能性、カッシーニ観測成果で浮上
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