内田樹(うちだ・たつる)/1950年、東京都生まれ。思想家・武道家。東京大学文学部仏文科卒業。専門はフランス現代思想。神戸女学院大学名誉教授、京都精華大学客員教授、合気道凱風館館長。近著に『街場の天皇論』、主な著書は『直感は割と正しい 内田樹の大市民講座』『アジア辺境論 これが日本の生きる道』など多数 ※写真はイメージ(gettyimages) 哲学者の内田樹さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、倫理的視点からアプローチします。 * * * 先日、橋本治さんを「偲ぶ会」が東京で開かれた。糸井重里さん、養老孟司先生、高橋源一郎さん、関川夏央さんら、生前親交のあった多くの方が集まった。会場の片隅で、私は矢内賢二、裕子ご夫妻と鶴澤寛也さんとしばらく立ち話をした。 十数年前、不思議なご縁で、神戸女学院大学の学生たちを引き連れて、寛也さんの女流義太夫の公演のお手伝