長年にわたり公安警察取材を続け、先日、小説『マルトク 特別協力者~警視庁公安部外事二課 ソトニ』を上梓したTBSキャスターの竹内明氏が、中国での「日本人拘束事件」の真相を明かす。水面下で繰り広げられる「日中諜報戦争」。その構図は『マルトク』で描かれた世界とあまりに酷似している。 拘束されたのは4人だけではなかった! 日本人、計四人が中国国内で身柄を拘束されたことが明らかになった。容疑はスパイ活動の疑い。九月末の朝日新聞での初報以来、新聞や週刊誌が「うち三人は日本の公安調査庁の協力者である」と報じている。本稿では各報道がどこまで正しいかの検証は避けるが、この四人の拘束は「氷山の一角」に過ぎない。 取材を進めると、問題は根深いことがわかってきた。驚かされたのは、過去三年間で、日本から中国に入国した合計二十人近くが中国で身柄を拘束されており、その大半が公安調査庁の協力者だという事実だ。ある公安調