木を隠すなら森の中へ――。川崎市幸区のシステム開発会社が、本物そっくりの氏名、住所、電話番号などが名簿状のデータになった「疑似個人情報」を売り出している。本物の個人情報をこの中に紛れ込ませることで、万が一漏出した際も、悪用しようとたくらむ人たちの目をくらますことができるという。 (木村尚貴) 氏名、住所、電話番号、年齢などが名簿形式でびっしりと並んでいる疑似個人情報。開発したのは「People to People Communications」社長、馬場貴大(たかひろ)さん(29)だ。システム開発のため大量の個人情報を扱う企業や、連絡網を作る必要に迫られた組織などを主な販路にしている。 県内では、1月に県立高校に在校していた11万件の生徒の個人情報が流出したと発表されたばかり。馬場さんは、個人情報を扱うシステム開発の現場は、初期の段階で本物の情報を使うことが多いと指摘し「最初は