こんな話がございます。 相州は丹沢山地のとある一隅に。 奇妙な名前の沢が集まっている場所がございます。 勝負沢、二十が沢、六百沢、転がし沢――。 これらの名がどのようにしてついたのか。 その由来をこれからお話しようと存じますが。 観応の擾乱――世に言う南北朝の動乱の頃の話でございます。 新田義貞の子に、名を義興ト申す武将がございました。 足利勢に対抗し、上野国にて同志と挙兵いたしました。 一時は首尾よく鎌倉を奪還いたしましたが。 その後は劣勢に立たされまして。 多摩川は矢口の渡しにおいて、主従ともども敵に殺されてしまいました。 さて、この義興の配下に、その名も矢口信吉ト申す武者がおりました。 主君の新田義興を、敵の騙し討ちで失って以来。 信吉はにわかに落ち武者となってしまいまして。 妻子供と、わずかばかりの家来を伴って。 相州は丹沢の山奥へト、逃げ込んでいきました。 丹沢は相州を甲州および
東京在住の人でも、「唐木田」という文字列を見たことがない人もいるだろう。小田急線を使っている人は、「唐木田行き」という文字列を見たことがあるかもしれないけれども、そういうのはいいから小田原行きを増やしてくれと思うだけかもしれず、ましてや降りたことのある人は少ないと思う。 わたしも、唐木田に行く前は、住む分には始発駅だから通勤には便利そうだが、観光地ではないと認識していた。しかし、実際に行ってみるとそうではなかった。いや、やはり一般的な意味での観光地にあたらないことはたしかなのだが、ちょっとした非日常的な空間が楽しくて、もう五回ほど散歩に行っている。たとえば幕張に住んでいる人が唐木田に遊びに行くのはあまりおすすめしないが、仙川や調布、成城学園前や新百合ヶ丘などにお住まいの方にとっては、気軽に味わえる異空間である。 もし行くなら、夕方4時ごろがおすすめで、駅を出てからゆっくり歩いても2時間もか
5/31追記 まとめ主たちの思う近年の女オタにおけるミステリ事情について 思っていた以上に広く拡散・反応を頂けて驚いております。 当時のいろんな情報を頂けて、知らなかったことも多く、大変参考になっております。ありがとうございます。 その過程で、世代間ギャップが私達の想定していた以上に大きいのでは?と感じられるようなご意見・コメントも頂いており、私達世代の情報も文章にしておくべきだと考えましたので、冒頭に前提として付け加えさせて頂きます。 まとめ主たちについて このまとめにおいて中心として話をしているのは、1992年~1994年生まれの二十代前半の女オタクです。 まとめ主の私(@suzushi211)は1993年生まれです。所謂ゆとり世代ですね。わかりやすいので以降ゆとり世代と表記します。 そしてそれぞれが「本格ミステリ」ファンとなったのは大学入学前後(2010年前後)だと思われます。 女オ
「月にこれだけでいいの!?」と青柳美帆子は叫び、「ライターは言葉で世界をデザインする仕事」と米光一成は語った。 11月1日に高円寺パンディットで開催されたトークライブ「米光一成×青柳美帆子『若手ライターはいかに生きるべきか』」の内容は、たぶんこの一行で済むんじゃないかなーと思います。いやー深い、そして生々しい! そして会場のベテランライターからのツッコミに、真っ正面から切り結んでいく青柳美帆子は美しい! 自分もライターの端くれとして、久々に良いモン見せていただきました。 ちなみに当日の模様は、同じくライターの与儀明子が壁に貼られた模造紙に議事録をとり(これがイラスト付きで味があるんだ。手書き文字っていいね!)、電子書籍配信プラットフォーム「電書カプセル」で配信済み。頭から終わりまで丁寧にまとめられています。たぶんライター志望の学生や若手ライターにとっては、そっちを読んだ方が勉強になるんじゃ
暇だからむちゃくちゃ書く いきなり浅田次郎の『お腹召しませ』の跋から引用するんだけど「貴き母国語の司祭たる小説家は、その記す言葉の一句一行に責任を負わなければならぬ」って、これなかなかカッコイイこと言ってるけれども、浅田次郎の文章だってたいがいひどいときはある。語彙は豊富だけど脂っこすぎるから格調が損なわれちゃって、なんだか下品だなーって思っちゃう瞬間も多いよねってわりと共感してもらえると思うんだけどどう? で、こういう話をしてると必ず横から口を出してくる手合いがいて、言うことには「最近の小説家は文章のレベルが低すぎる」。こういうやつには気をつけなきゃいけない、なにしろこいつはそんな侮蔑的なことを言いながらむかしの小説をあんまり読んでないからだ。たしかに百田尚樹はおそろしいくらい下手な文章を書くし、現在まで残ってるむかしの小説家の作品の多くはたしかに文章が上手くて、そのうえたとえば川端とか
星海社ウェブサイト『最前線』において6月中旬の開始を予定している大塚英志氏の新連載『角川歴彦とメディアミックスの時代』の公開に先駆けまして、大塚氏から緊急寄稿がありましたので急ぎ僕のブログを通じて公開いたします。タイトルは「企業に管理される快適なポストモダンのためのエッセイ」。 先日発表されたKADOKAWA・DWANGOの誕生が放つ巨大な重力から逃れて生きることは、ライトノベル、漫画、アニメ、ゲーム、ネットなどのただ中で生きている僕たちにとってはほぼ不可能な状況になることでしょう。だからこそ、僕たちはたった今、個人個人が真剣にこのKADOKAWA・DWANGOの合併劇について考えるべきなのではないでしょうか。そういった意味で、この緊急寄稿は必読のテキストであると考えます。 また、新連載『角川歴彦とメディアミックスの時代』では、「メディアミックス」の誕生の原点とされる80年代史と角川源義、
今日、仕事を休んだ。9時始業なのでもう皆働いているだろう。私がいないことは影響がないだろうと判っているけれど、ちょっとでもいたほうがよかった、と思えることがあればいいのに。 地方のIT関連企業……そう、たしかにIT関連だな。そこでへっぽこSEとして12年働いてきた。ここにきていろいろ心が疲れることが多くなってきた。結局、どんな仕事でも最後は金の話だ。給料も含めて。自分自身を経営すると考えたらすこしでも高く売るのが正解だろう。しかし地方では売り先も少ない。愚痴。コンピュータが好きだったのだけれどそんなのは最後の話でそれまでに延々金の話が続く。そこを解決してやっとコンピュータの話だ。最近はそれもちょっと変わって、大手がとってきたのが回ってくるだけになった。それだって一番安くした協力会社が選ばれる(?)だけのことだ。顧客からしたら大手と取引したつもりだろうが、実際は10年前と変わらず、地場のうち
誕生日の時のエントリーでも書きましたが、 ゼロ年代は骨太のスポーツ漫画が豊作の時代だったと思います。 基本的には細かい描写のリアリティが増していく方向性にあったような気がしますが、 そのリアリティ描写の方向性を分析してみるとなんか面白い。 そんな思いつきを出発点にして、 いくつかの作品を取り上げながら90年代からゼロ年代のスポーツ漫画について、 いかにリアリティ(強度)を担保しながらスポーツを描いてきたのか、 その変化に着目しながらスポーツ漫画の歴史について考えてみたいと思います。 1.人間ドラマからスポーツドラマへ ―『スラムダンク』とスポーツマン― ゼロ年代の作品について考える前に、スポーツ漫画の歴史について簡単に振り帰ってみたいと思います。『巨人の星』や『あしたのジョー』から『タッチ』や『キャプテン翼』に至る80年代までのスポーツ漫画においては、スポーツそれ自体の描写のリアリティは現
ブサ犬「わさお」の名付け親は、昆虫写真もプロ級 1/6 伝説のブロガー ブサ犬わさお(左、メレ山メレ子さん提供)。 待ち合わせ場所に現れたメレ子さん(右) 「メレ山メレ子」さんは、ブログ「メレンゲが腐るほど恋したい」でブサカワ(不細工過ぎてかわいい)犬「わさお」を世に出した伝説のブロガーとして知られる。しかし、彼女のプロフィールを飾る「虫をわしづかみにするワイルドさ」という側面も、要注意だ。大物昆虫写真家が、彼女のベトナム旅行記に触発されて撮影に出かけたという話も聞いた。 メレ子さんは、増殖しつつある「虫ガール」たちのあこがれの存在であり、著名な虫おじさんたちからも注目される若手昆虫写真家・随筆家・ブロガーでもあるのだ。 メレ子さんのカメラにも蝶が メレ子さんには独特の視線がある。常人が気付かずに通り過ぎるようなものの中に、面白さを見つける才能がある。青森県鯵ヶ沢で出会った白い毛がモジャモ
諸事情によりどうしても運転免許が必要になり、沖縄の自動車学校まで免許を取りにいった。自分の運動能力に自信がなかったため、合宿が始まるまでは「走る殺戮機械になりたくない……」「人殺しになる前に死にたい……」ということばかり考えていたけれど、実際、車を運転してみると講習そのものは極めてスムーズに進行し、人を殺すことも器物を損壊することもなかった。また、教習所の人々は優しく、青い海と白い砂浜があり、食事はおいしく、我慢できない問題点なんて一つもない素晴らしいところだった。 そんな奇跡のような場所で、私がみるみるうちに衰弱し、食事が食べられなくなり、現実逃避に訳のわからない空想ばかりして過ごすようになっていくまでの記録。 1 今日から教習所の合宿がスタート。受付を済ませ、事務の人に寮を案内してもらう。シャワー室に入ると、床に大きな穴が二つもあいており、割れたコンクリートがむき出しになっていて、いっ
The work identified here has been deleted with the reasoning explained below. This message box remains in place of the work due to the work having been cited external to English Wikisource. Politics as a Vocation (1918) by Max Weber was deleted on 9 May 2012 because translation was a copyright violation. For more information on this case, see the deletion discussion.
あらゆるものに反対するあらゆるデモ隊が一個の混濁のうねりとなってパシフィコを襲う。あらゆる警備網はすでに破綻し、なすすべはない。しかし、そこに巨大クモ型多脚戦車ラ・マシンに乗った中田前市長が現れ、「やらせはせん!」を連呼しながら圧倒的な力を見せ、ついには自爆して果てる。横浜市民はそこで、ようやくY150が終わったのだと知る。 俺の中でAPECはとっくに終わっていたのだが、現実界ではヘリコプタがうるさい。あるいは何か見られるかと思い、小径車に乗ってでかける。山手のメーンストリートを通り、港の見える丘公園。「頬を刺す朝の山手通り〜♪」。山手通りではない。公園近くには警察官が多い。不穏な空気を愛さないで。坂を下って山下公園へ。 こいつは鳩を襲おうとしていた、いまどきにしてはやる気のある猫だった。 ああ、言うまでもないけど、決定的なものなんて何一つ見られなかった。 ツインローターのヘリとか、あるい
前回(id:Delete_All:20100826#1282797394) のつづき。行方不明になっていた上司が出社した。入院を理由に休み続け、病院名も教えず診断書も出さなかった部長だ。休んだ理由だけは覚えていたらしく、出社するなり、誰もきいていないのに右の脇腹を右手で押さえながら「傷口ンが…体力ンがまだン回復ンしてンねえ」と仏語調に呟いた部長の頭髪は、最前部こそ、油と皮脂で固めて巨大ダムを想わせる黒い壁を築き、その逞しさたるや、部長健在を誇示するかの如くであったが、全体的にはバーコードと呼ぶにはたいへんに心許なく、ダムに沈む過疎村の上空をまばらに走る送電線のように寂しげで、周囲に「老いられたな…部長…」と思わせた。 部長は菓子折りを小脇に抱え、「迷惑をかけたな…お菓子のホームラン王ナボナを持参して社長に報告に行かねば…」といってから社長室へ向かっていった。声が小さく弱々しいのが、すこしだ
元パイロットが語る、SR-71ブラックバード操縦のスリル2010.05.18 22:0026,639 Brian Shul - Gizmodo US [原文] ( satomi ) SR-71ブラックバード。チタン合金の機体、Pratt&Whitney社のJ58-P4エンジン、発祥の話をいくら並べたところで実録に勝るものはないでしょう。今回ご紹介するのは、極めて危険な任務でブラックバードを操縦したパイロット自らが語る回顧録です。-JD 1986年4月、ベルリンのディスコ爆破テロで米兵が死亡。これを受け、レーガン大統領はリビアの軍人ムアンマル・カダフィのテロリストキャンプ爆撃命令を下した。 僕に与えられた任務は、リビア上空を飛んで米軍F-111が加えた被害状況を写真に記録すること。カダフィは領土境界線「line of death(死のライン)」をシドラ湾に張り、そのラインから侵入してくる者は
↑香菜が好きすぎるネコ山 「土豆烧牛肉」というジャガイモと牛肉の煮込みは別名「共産主義的煮込み」と呼ばれています。その起源はフルシチョフによる、中国の共産主義には水っぽいスープしかないが、ロシアの共産主義にはビーフシチューがあるという趣旨の発言です。中国は共産主義を実現するための経済的基盤がまだ整っていないという意味なのですが、いったいどうしてこんな嫌味度MAXな言い方に…!? こともあろうか貧困に苦しむ中国人民に美食自慢だなんて…レーニンは「飢えた民は蛇まで食べているのに豪華な食事なんて…!」と激怒&号泣し料理を投げつけ暴れた*1ことさえあるというのに……。 そんな、プロレタリア精神をどこかに置き忘れたとしか思えないフルシチョフの態度に中国側も大激怒。フルシチョフはもはや反マルクス-レーニン主義の修正主義者だ! ということで、毛沢東も荘子の改変コピペを散りばめた壮絶リリックですかさず応戦
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