人類にとって大きな後退 1969年に初めて月面着陸を果たしたアポロ11号のニール・アームストロング船長は、こんな名言を吐いた。 「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ」 私は今回の「ハノイの決裂」の第一報を聞いて、皮肉にも半世紀前のこのセリフを思い出した。今回の米朝首脳会談を評して言えば、こういうことだ。 「一人の人間にとっては小さな退歩だが、人類にとっては大きな後退だ」 トランプ大統領と金正恩委員長は、あえて「決裂」という道を選んだ。予定していた和やかなランチも共同声明の署名式も中止となり、トランプ大統領は記者会見を予定より2時間早めて行うと、そそくさとエアフォースワンに乗り込んで帰国した。 両首脳とも、それぞれ「傷を負って」の帰国となった。特に、トランプ大統領の方は深刻だ。後述する「ロシア疑惑」とダブルパンチで、2月28日は「トランプがレームダック(死に体)化