1時間を超すインタビューの中で、堀江元社長の淡々とした口調が変わった瞬間があった。「賃金」と「規制緩和」が話題に上ったときだ。 「グローバル化が進んで、中国やインドの労働賃金の安さに日本は勝てなくなっている。日本という小さな島のクオリティー(質)を上げるには、科学や技術に優れた人たちを応援して伸ばして、仕事をしやすいようにするしかない。それが、全体への富の配分となり、最低賃金を上げることにもつながる。それなのに、官僚が権限を手放したくないために規制を強化し、金持ちから単純に税金を取り上げるとなれば、みんな逃げ出します。自由に生きたいと思っている人が『この国、やだよ』になっている。ぼくは行かないけど、周りにいますよ。本気で嫌になって外国に行く人が。あんなの、いいのかな」。最後は、興奮したように語気を荒らげた。 「この国」という言葉が元社長から出たのは意外な気がした。インターネットという国境を