公共事業の大幅な減少によって、地方の建設会社は青息吐息の状態にある。活路を見いだすため、農業や介護事業に参入した業者も少なくない。2000年に農業生産法人「あぐり」を設立した愛媛県松山市の金亀建設(現・愛亀)もその1社だった。時代の荒波に飲み込まれ、将来に強い危機感を持った西山周社長は、社長に就任すると同時に農業への進出を決断した。 それから8年。60アールの水田から始まったコメ作りは50ヘクタールまで拡大した。農地は農家から借り受けているもの。高齢化などによる担い手の不足で西山社長の元に集まった。最近では、近隣から出る食品残渣を集めた堆肥作りも始めている。化学合成農薬や化学肥料などを使わずにコメを作るためだ。安全で、生産者の顔が見えるあぐりのコメは、地元で飛ぶように売れている。 雇用維持、農業再生、産業復興――。地方には課題が山積している。本業の舗装業に農業やリサイクル事業を組み合わせる