〔連載〕続 アメリカ医療の光と影 第18回 Conflict of Interest(利害の抵触)(4) Patient vs. Patent 李 啓充 医師/作家(在ボストン) (2532号よりつづく) 〔前回(2532号)までのあらすじ:遺伝子治療治験で被験者が死亡,治験のスポンサーは研究者自身が出資した企業であった〕 前回,コーネル大学医学部のロナルド・クリスタル教授が,自ら出資した企業をスポンサーとして虚血性心疾患に対する遺伝子治療治験を行なったことを紹介したが,当時,虚血性心疾患の遺伝子治療領域でクリスタルの最大のライバルと目されていたのが,タフツ大学のジェフリー・イスナー教授だった。2000年2月,FDAは,イスナーが,ボストンのセント・エリザベス医療センターで行なっていた遺伝子治療の治験4件の停止を命令した。死亡例の未報告・インフォームド・コンセントの不備など,イスナーが主導