生まれつき足が不自由な女性・ジョゼと、ごく普通の大学生・鈴川恒夫の心のふれあいを描く劇場アニメ『ジョゼと虎と魚たち(以下、ジョゼ虎)』。本作のBlu-ray&DVDの発売にあわせて行ったタムラコータロー監督のインタビューの第2回は、絵作りに対するこだわりを中心に聞いた。 ――本作はジョゼが海で泳ぐ空想をするシーンなど、ビジュアルが印象的なシーンが多く描かれています。絵作りにおいて、とくに念頭に置いたのはどんなことでしょうか? タムラ ビジュアル面で言うと、『ジョゼ虎』は青春作品なので、恒夫とジョゼの主観から見た世界を視覚的に表現したいと思ったんです。本当は世界は広いんですけど、恋するふたりにとっては自分たちが世界の中心。キラキラして見えるけど、周囲はよく見えていない。そんなバランスで描きたいなと。カメラのピントがお互いの姿にピッタリ合わせてあるせいで、まわりは少しピンボケに見えている感じと