新型コロナウイルス感染症が日本を襲い始めて間もなくのことだ。2020年3月、同年夏に開催するはずだった東京五輪・パラリンピックを1年延期すると決めたのを受け、安倍晋三首相はこう話した。「人類が新型コロナ感染症に打ち勝った証しとして、完全なかたちで開催する」コロナに打ち勝つというのはどんな状態を指すのか。現状、変異型のオミクロン型から派生した「BA.5」が猛威をふるい、国内の新規陽性者は日々20
新型コロナウイルス感染症が日本を襲い始めて間もなくのことだ。2020年3月、同年夏に開催するはずだった東京五輪・パラリンピックを1年延期すると決めたのを受け、安倍晋三首相はこう話した。「人類が新型コロナ感染症に打ち勝った証しとして、完全なかたちで開催する」コロナに打ち勝つというのはどんな状態を指すのか。現状、変異型のオミクロン型から派生した「BA.5」が猛威をふるい、国内の新規陽性者は日々20
新型コロナ対策をめぐり、山際経済再生担当大臣はNHKの「日曜討論」で、社会経済活動の維持を重視する政府の立場に変わりはないとして、引き続き、行動制限は行わず、感染の第7波の収束に全力を挙げる考えを示しました。 14日の「日曜討論」には、今月10日に発足した第2次岸田改造内閣の5人の閣僚が出席しました。 山際経済再生相「第7波がきちんと収まるように最大限努力」 この中で、新型コロナ対策を担当する山際経済再生担当大臣は、新型コロナの感染拡大が続く中での行動制限の扱いについて、「政府としての方針を変えるつもりはなく、コロナ対策は行いながらも、社会経済活動を続けられる環境を整備する努力を続ける。感染の第7波の波がまだ収まっていない状況にあるので、この大波がきちんと収まるように最大限努力する」と述べました。 加藤厚生労働大臣は、新型コロナの感染症法上の扱いを見直すかどうかについて、「いろいろな項目が
先月31日は、全国で確認された新規感染者は19万人を超えました。日曜日としては、過去最多です。感染者の増加に伴って、医療の現場は逼迫(ひっぱく)しています。救急隊が100件電話しても、搬送先の病院が見つからず、自宅で亡くなるという患者も出ています。 ■持病持ち患者 コロナで急変…足先紫色に 医師のもとには、1週間前と比べて3倍以上もの往診依頼が殺到しているといいます。 ひなた在宅クリニック山王・田代和馬医師:「往診する患者さんの重症度が、明らかに重症化している」 この日、在宅診療を行う医師が向かったのは、83歳、末期の大腸がんを患う男性の自宅です。 田代医師:「ちょっとぐったりしているな。元気ないね。うわっ冷や汗かいている」 妻:「元気なかったんです」 田代医師:「分かる僕のこと?分かります?」 患者:「う、うん」 看護師:「はっきり調子悪いのはきのう、きのうですよね」 妻:「そうなんです
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が15日、共同通信の単独インタビューに答え、東京新聞や神戸新聞など契約紙に一斉に掲載されていたが、その中身には驚いた。コロナ対策の専門家トップという自らのポジションをすっかり忘れ、評論家のような無責任発言のオンパレードだったか…
新型コロナウイルス特別措置法に基づく蔓延(まんえん)防止等重点措置の18都道府県での期限延長をめぐっては、4日の基本的対処方針分科会(尾身茂会長)で経済系の専門家ら2人が反対を表明し、医療系の専門家との足並みの乱れが改めて印象付けられた。軽症が多いが感染力が強いオミクロン株を前に、政府は社会経済活動との両立に向けた「出口戦略」を描けずにいる。 「重点措置の延長に反対する。私権制限を続けなければならないほどなのか」 分科会で大阪大の大竹文雄特任教授(行動経済学)はそう表明した。「感染抑制効果が小さいにもかかわらず、莫大(ばくだい)な税金を使って飲食店への協力金を支払う合理性がない。子供や若者らの人生へのマイナスの影響が大きい」とも訴えた。 尾身氏によると「感染症の専門家の多くはリバウンド(再拡大)する可能性が高いという認識をもっていた」という。実際、オミクロン株より感染力が強いとされる派生型
かつては外国人観光客で賑わった京都。地元経済にとって重要な存在を欠くいま、京都の住民は必ずしも「帰ってきてほしい」とは思っていないようだ──英「ガーディアン」紙の特派員ジャスティン・マッカリーがコロナ禍の京都が抱える“複雑な想い”を綴る。 かつての喧騒は何処へ 数年前まで、京都でも有数の人気を誇る寺院に続く坂道は、訪れる人たちの忍耐力を試すものだった。観光バスが到着すると、観光客たちは清水寺へと向かう蛇行した細い道に続々と入り込んでいく。 それはコロナ禍以前の風景だ。いまでは、あたりを飛び交っていた異国語の会話の代わりに修学旅行生のおしゃべりが聞こえる。お土産や和菓子を売る店にはほとんど人がいない。彼らは店が繁盛していたあの頃を思い出しているのだろうか。 京都に訪れる外国人観光客たちは、かつては「地元経済にお金をもたらす」という理由で歓迎されていた。だが文化的なタブーを犯したり、場合によっ
新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、「まん延防止等重点措置」が各地に適用された。医師の大和田潔氏は「新規感染者を抑えるために人々の暮らしを犠牲にするのは本末転倒だ。コロナ専門家は再び失敗を繰り返すことになる」という――。 コロナ専門家が作り出してきた恐怖から離れるべき 政府は関東や東海など16都県に「まん延防止等重点措置」を発出しました。25日には北海道や大阪、京都、兵庫の関西3府県など計18道府県を加える見込みです。 飲食店の時短営業や「人数制限」を求め、暮らしや経済が再び傷つけられ始めました。WHOが渡航規制を「オミクロン株では実施する価値がなく、経済的・社会的な負担を各国に強いる」を理由に撤廃したにもかかわらずです(注1)。 専門家が中心になって日本で行われてきた「自粛」と「ワクチン接種」に偏ったコロナ対策のマネジメント失敗が、オミクロン株によって繰り返され、改めて鮮明になりました
「いまになって、また水際対策を強化するのか?」と違和感を抱かずにはいられない日本の対応の珍妙さは、決して「中川個人の感想でしょ」というレベルの話ではない。日本の鎖国令に対し、WHOは名指しで「理解不能」とコメントしているのだから。 煽りのトレンドは「濃厚接触者の人数」にシフト ここのところ陽性者数がずっと低水準だったことから、12月に入って以降、報道のトレンドは「コロナ陽性者数」から「濃厚接触者の人数」へとシフトしていった。「陽性者数を煽りに使えなくなり、どうやって視聴者を煽ればいいのだろうか……」と頭を悩ませたであろうテレビが、「濃厚接触者の人数」をやたらと問題視し始めたのである。 12月12日、神奈川県川崎市にある等々力陸上競技場でサッカー天皇杯の試合がおこなわれ、観戦した人のなかにオミクロン株の陽性者がいることが判明。この人の座った席が明らかにされ、その周囲に居合わせた80人にもPC
日本国内の新型コロナの感染者数は10月中旬以降、1000人以下に減った。一方、連日4万人が感染しているイギリスでは、多くの人がマスクを着けず、コロナ前の生活に戻りつつあるという。イギリス在住ライターの江國まゆさんは「マスク着用は義務化されているが、それに従わない人が多い。義務ではなくても進んでマスクをする日本とは国民性がまったく違う」という──。 通常の生活に戻りつつあるイギリス社会 イギリスでは2021年7月半ば以降、まるで何事もなかったかのように、ほぼ通常通りの生活を送ることができるようになっている。パブには人があふれ、買い物客も戻ってきた。ロンドンの繁華街では人混みをかき分けるような経験もするし、公共交通機関も時間帯によっては混み始めている。 現時点でのイギリス政府の方針は、ロックダウンで社会生活や経済を犠牲にすることではなく、ワクチンを国民に受けてもらうことで経済を前進させることで
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健康上の理由などで新型コロナウイルスのワクチンを打ちたくても打てない。そんな人たちが、差別や偏見にさらされる。そうした事態を避けるには──。AERA2021年9月27日号の記事を紹介する。 国内でコロナワクチン接種を2回完了した人が全人口の5割を超えた。だが接種は任意。打てない、打たない人への配慮が欠かせない (c)朝日新聞社 * * * 「何もできなくなります」 都内に住む会社員の女性(45)は不安を口にする。 女性は薬物アレルギーがあり、新型コロナウイルスのワクチンを打ちたくても打てない。しかし最近、ワクチン接種を証明する「ワクチンパスポート」の活用がニュースで流れるようになった。パスポートを持った人は行動制限が緩和され、自由に旅行ができ、イベントにも参加できる。そんな構想を耳にする度に、不安に駆られるという。 ■帰省もできないの? 「このままだと自分は県境もまたげない、出張もでき
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新型コロナウイルス・デルタ株の流行で連日のように医療現場の窮状が伝えられている。医療提供体制の問題が指摘されながら拡大がなかなか進まない。 東京都は改正感染症法16条の2に基づき民間病院への協力を要請したが効果はあるのだろうか。何しろ、市井の多くの診療所やクリニックは1年半以上も「熱のある方は保健所へ連絡を」と張り紙したまま、頬かむりして新型コロナの診療に協力していない。勧告や名前の公表ぐらいでは効かないのではないか。 また、大規模病院や療養施設への応援、在宅療養者へのオンラインによる診療支援といった程度では不十分だ。一般の診療所の開業医がインフルエンザの場合と同様に外来診療や往診に応じる体制を作る必要がある。一方で、分科会の医師の一部や知事などが主張する国民へのより強力な活動制限、ロックダウンなどはすべきでない。以下、説明したい。 感染力が強くなる一方、致死率は低下 まず、新型コロナの被
4月25日に3回目の緊急事態宣言が4都府県で発令された。菅首相は記者会見で、「効果的な対策を短期間で集中して実施し、ウイルスの勢いを抑え込みたい」と強調した。しかし、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を使ったコロナ対策は限界に来ていると思われる。狙いどおりの結果を得るのは困難で、むしろ経済・社会に甚大なマイナスの影響をもたらすだろう。 活動制限と感染増減には相関関係がない 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置といった活動制限策には、3つの問題点があると思う。 第1に、エビデンス(根拠)に基づいた政策なのかという点である。 今回の緊急事態宣言でも、さまざまな制限策が講じられているが、疑問のあるものが少なくない。建物の床面積合計が1000平方メートルを超える商業施設は休業対象だが、この線引きはどのような判断から出てきたのか。会話することのない映画館を休業させる理由は何か。学校の部活動の禁止、夜2
対面型サービス業の苦境は続く 2021年1月に再発令された緊急事態宣言の影響は、2020年4~5月の緊急事態宣言時と異なり一部の分野にとどまった。日銀短観2021年3月調査では、輸出の増加を背景に製造業は大きく改善し、対面型サービス以外の非製造業も多くの業種で改善した。ところが、対面型サービス業 (運輸・郵便、宿泊・飲食サービス、対個人サービス)の景況感は悪化した。 また、法人企業統計の経常利益を見ると、2020年4~6月期に前年比マイナス46.6%と急速に落ち込んだ後、10~12月期には同マイナス0.7%まで減少幅が縮小した。対面型サービス業(運輸、宿泊、飲食サービス、生活関連サービス、娯楽)は大幅な減少が続いているが、製造業や対面型サービスを除く非製造業は前年比でプラスに転じている。 2020年4月の緊急事態宣言の影響で急速に落ち込んだ雇用者数はその後の持ち直しも緩やかにとどまっている
通常なら客でにぎわうカフェバーも閑散としていた=東京都目黒区で2021年3月3日午後7時37分、玉城達郎撮影 首都圏1都3県に発令されている新型コロナウイルスの緊急事態宣言が期限の7日から2週間程度、延長される見通しになった。飲食店にとって3月は、花見客や観光客でにぎわうかき入れ時だが、延長に伴い営業時間短縮要請は続くとみられ、店主たちからは「限界に近い」と悲鳴が上がる。 東京都内の桜の名所の一つである目黒川。花見の季節には800本以上の桜が咲き誇り、家族連れなど300万人以上が訪れる。例年なら周囲の飲食店は連日にぎわうはずだが、宣言の延長が暗い影を落とす。 店内から桜を眺められるジンギスカン料理店「中目黒ひつじ目黒川店」の店長、西原宏視さん(32)は「一番の稼ぎ時の花見シーズンに影響が出るかもしれない。また経営が厳しくなる」とため息をついた。
コロナ前はインバウンド景気に賑わっていた「GINZA SIX(ギンザ シックス)」の大量閉店が大きく報道されるに及んで、これまでテナントや中小ビルオーナーの苦境に留まっていたコロナ禍の「小売恐慌」がついに大資本大家を脅かす段階に至ったことを印象付けた。緊急事態宣言の再発令以降も都心部の人出は大きくは減少していないが都心商業施設の集客と売上の落ち込みは深刻で、もはやこれまでと見切りをつけて撤退するテナントが急増している。「その有様は都市文明の崩壊を予感させる」と、ファッション流通ストラテジスト・小島健輔氏は警鐘を鳴らす――。 「総崩れ」が始まった都心商業施設 「ギンザ シックス」では臨時休業中の3テナント(飲食)に加え、昨年12月27日から今年1月20日にかけてコスメブランドやアパレルショップ、カフェやレストランなど22店が閉店したが、5万平米に241店舗が揃う巨大商業フロアの中では“歯抜け
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