「親バレしたのは、男優2年目のとき。5月の母の日のことでした」 森林は少し俯きながら、記憶を探るように語り始めた。「大学から親に『お子さんの履修届が出ていない』って連絡があったんです。そのころ、僕はもう全然大学に行ってなかった。けど、男優の仕事のために、毎日『大学に行く』って嘘をついて出掛けてたんです。だから、お前は何をやってるんだ、話を聞かせろってことになって」 森林はリビングのテーブルに、両親と向かい合わせに座った。しかし、数分間は誰も口を開かなかったという。気まずい空気が流れるなか、最初にその沈黙を破ったのは厳しい父でも、覚悟を決めた森林でもなく、いつも優しい母だった。「いきなり『何の宗教やってるの』って言われたんです。たぶん、親なりにいろいろ考えを巡らしたんでしょうね。当時は、頭のいいやつが道を踏み外すと言えば、宗教だったんです」 「親を泣かせるだけだったら、辞めてたかもしれない」