特攻隊の飛行機を想起させるカヴァー・アート、タイラー・ザ・クリエイターなどのラッパーや批評家をディスりまくったリリック、ホモフォビア(同性愛者嫌悪)的な表現などが議論を呼び、賛否両論(どちらかといえば、〈否〉のほうが多い)だったアルバム『Kamikaze』(2018年)。あれから約1年5か月、その間には正直に言って、うんざりするような話題も多かった(それこそが彼のキャラクターだと言われたら、そのとおりなのだが)。そんなエミネムから20曲入りの大作『Music To Be Murdered By』がサプライズで届けられた。 ジャケットとアルバム・タイトルは言わずと知れた名映画監督、アルフレッド・ヒッチコックの同名アルバム(58年)から引用。イントロやインタールード、アウトロなどではヒッチコックの声をサンプリングしている。〈殺される音楽〉……なんとも物騒なタイトルのとおり、叫び声とスコップで何