安倍晋三が率いた自民党最大派閥・安倍派。 安倍の「国葬」を区切りに新体制への移行を目指したが、後任の会長を決めることができず、「安倍派」の名称のまま、トップ不在の体制を続けることとなった。 衆目の一致する後継者が不在の中、派内では、いくつもの思惑が交錯し、せめぎ合いが繰り広げられた。「安倍派」はなぜ、時計の針を進める道を選べなかったのか。(米津絵美、柳生寛吾、馬場勇人) 幻に終わった「塩谷派」 「新しい体制を考えていたが、いろんな意見があり、検討するにはまだ時期尚早だ。無理にやるとおかしな方向に行きかねず、丁寧に時間をかけようという結論に達した」 先月(10月)13日に開かれた安倍派の議員総会。 会長に次ぐナンバー2の会長代理を務める塩谷立は、苦渋の表情で、安倍の後任の会長選びをさらに先送りする意向を表明した。 2週間前の派閥の総会で、「国葬」終了を踏まえ、新体制へ移行する方針を明らかにし