『100歳、ずっと必要とされる人』の著者、101歳の現役サラリーマンの福井福太郎さん。約80年前、慶應義塾大学経済学部をトップの成績で卒業、助手として学者の卵としての人生を歩み始めたが、間もなく始まった第二次世界大戦で戦地に赴いたことから学者としての夢を永遠に断たれることになったことは、前回までの連載で詳しくご紹介した。 現在は「今の経済学は難しくて分からないんですよ」とにこにこしながら話す福太郎さんだが、たびたびこうも言う。「でもね、大学時代に勉強したことは、僕の人生の基礎になっているんです」。その時に学んだ「異端」の経済学者の思想が、福太郎さんのその後を支えてきたのだ。 その異端の経済学者とは、19世紀に活躍したフランスの歴史学者兼経済学者、シモンド・ド・シスモンディだ。一般的にはほとんど無名の人物だが、経済史、経済思想史を学んだ人なら聞いたことがある名前のはずだ。専門家の間では恐慌論