日本のポストロックシーンを代表するバンド、サンガツがブログ上で発表した「お知らせ」は、音楽ニュースサイト・ナタリーにもピックアップされ、あっという間にネットの上を駆け巡った。 サンガツはジム・オルークのプロデュースにより、音楽評論家でもある佐々木敦さんのレーベル、WEATHERから2000年にデビュー。以降2010年発表のアルバム「5つのコンポジション」まで4枚のオリジナルアルバムをリリースしてきた。著作権の放棄と同時に、このレーベルも離れることになる。 ただ、そのお知らせの部分はさておき、このブログにある「itmsよりもspotifyよりもクックパッドの方が先を行っている※」という一文は、現在のネットと音楽シーンの関わりを適切に評価した表現のように思えた。もとよりサンガツの音に接したことがあれば、彼らの真意がどこにあるのか概ね予想が付いたのではないか。 サンガツの曲はどれもエモーショナル
弁護士(日本・ニューヨーク州)骨董通り法律事務所代表パートナー 日本大学芸術学部客員教授 1965年生まれ。神奈川県出身。東京大学、コロンビア大学ロースクール卒。著作権法を専門とし、出版、音楽、映像、舞台芸術ほかのクリエイター及びエンタテインメント関連企業の顧問先多数。著書に『著作権の世紀 ――変わる「情報の独占制度」』(集英社新書)などがある。「自炊」について多くのメディアでコメントし、ニコニコ生放送『ネットの羅針盤』『「自炊」と電子書籍』にも出演。Twitterでも「@fukuikensaku」で発信中 骨董通り法律事務所Webサイト 法律とユーザーの感覚の乖離 ―― スキャンしたデータのコピーを有償・無償で譲ったり、インターネットで公開したりすると、著作権の侵害になる、ということは、一般にもよく理解されるようになりました。 ところが、自分のお金で買った本を、あくまで自分用としてデータ
自分でプレイしたゲームの映像を、キャプチャして動画サイトなどに投稿する「プレイ動画」。ニコニコ動画やYouTubeでも人気のカテゴリだが、本来ゲームの動画をインターネットなどに投稿するのは著作権法違反。現状では「黙認」しているメーカーも多い一方で、以前から一部のメーカーやクリエイターからは、しばしばこれを問題視する声もあがっていた。 そんなプレイ動画に先日、真正面から異を唱えたのが、美少女ゲームソフトメーカー「Aile」代表の、みやび氏(@miyabi_aile)こと渡辺雅宣氏だ。こちらの記事でもお伝したとおり、みやび氏は自社タイトルの動画がニコニコ動画にアップロードされたことに対し、Twitterで「正規購入ユーザーのゲームを楽しむ権利を貶める、愚弄する行為には徹底交戦します。」、「私の内部にあるROE(交戦規定)ではすでに交戦が認められている状況になります。」などとツイート。ユーザー、
10日、角川グループホールディングスの代表取締役会長兼CEO、角川歴彦氏が「クラウド時代と<クール革命>」という新書を上梓した。 角川グループといえば、「涼宮ハルヒの憂鬱」や「らき☆すた」などネットで人気を集めるコンテンツを数多く持っている企業だ。さらにYouTubeと提携して、ユーザーが作ったMADを積極的に認めるという姿勢でも知られている。最近では、本書を発売前に全文無料公開したのが大いに話題を呼んだ。 角川会長は、なぜ今、この新書を書いて、無料で公開したのか。これからコンテンツ業界や著作権制度はどう変わっていくのか。ジャーナリストの津田大介氏が聞く。 コミケも認めるなら、YouTubeも認める ── 「クラウド時代と<クール革命>」を読ませて頂きました。正直な感想として、本の中にたくさん刺激的な提言が盛り込まれていて驚きました。上場企業の経営者で政府の知財政策にも携わっている角川さん
「雪かきみたいなものだよね」 「初音ミク」発売から1年半あまり。誰も足を踏み入れたことがない雪原で雪をかき、人が通れる道を模索してきたと、開発元クリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之社長は話す。 07年夏。歌声合成ソフトとしてデビューした初音ミクは、これまでにない流れを経て人気キャラになった。企業がヒットを仕掛けたのではなく、個人だけで盛りあがったわけでもない。無数の個人と企業が、それぞれのイメージでミクを歌わせ、描き、創り、イメージを共有し、ふくらませていった。 最初に動いたのは個人だった。初音ミクで作った楽曲が「ニコニコ動画」に投稿され、イラストを描く人、動画を作る人、3Dモデルを作る人――あらゆる個人が創作物を発表。それを見た人がさらに盛り上げた。 同社もこの動きに応え、ミクのキャラクターを非商用なら自由に利用・2次創作できるようガイドラインを出し、投稿サイト「ピアプロ」を開設
坂本龍一さんに聞く ネット時代の音楽表現とは2008年12月18日 印刷 ソーシャルブックマーク マンハッタンの自身のスタジオ=米・ニューヨーク インターネットの普及、とりわけ近年の動画サイト人気は「音楽表現のありよう」を大きく変えつつある。レコード会社に属さずに音楽活動をすることがさらに容易になり、テクノロジーの進化は新しいポピュラー音楽の形を生み出す可能性を秘める。一方でネットは「何のために表現するのか」という根源的な問題を職業音楽家に突きつけてもいる。ネット時代にどんな思いで創作しているのか。米ニューヨークで活動する作曲家の坂本龍一らに聞いた。 ――ネットの普及で、音楽はどんな影響を受けたのでしょうか。 「レコードからCD、ネット配信へと媒体が進化し、複製と流通コストが下がったことで、1曲あたりの販売単価は下がった。簡単にコピーやダウンロードをできるようになり、違法な複製も日常化した
「出版界、このままでは崩壊する」――ダイナミックプロ、絶版ラノベ・SFを電子書籍化:おもしろさは誰のものか(1/2 ページ) 「このままでは出版業界は崩壊する」――そんな危機感から、1つの電子書籍販売サイトが生まれた。絶版本を電子書籍で“復活”させる「ダイナミックアーク」だ。開設したのは、漫画家・永井豪さんの版権管理・マネージメント会社のダイナミックプロダクション。新刊書籍が量産されてはすぐに絶版になるという出版界の負の連鎖に、一石を投じたいという。 ダイナミックアークでは、1冊315円で、絶版ライトノベルやSFを販売。一度購入すれば、いつまででも、何度でも読める。「売ったら終わり」ではなく、作家が作品を改訂することもあるという。出版社を通さず、作家と直接交渉してコンテンツを集めた。 ネット時代の出版のあり方を探るためのテストケースにしたいという。「急速に変化するITの世界について行くため
JASRACは、作詞家、作曲家、音楽出版社などから著作権の管理を委託され、使用料を回収して著作権者に分配するという事業を行なう団体。音楽の歌詞やメロディーには著作権があり、コンサートやカラオケ、CD/DVD、テレビ/ラジオ/インターネットなどで音楽を利用する際には、著作権者に対して使用料を払う必要がある(著作権が切れているときや、権利者が無料での使用を認めた場合などは除く)。 JASRACとの提携は「既定路線」 ── 今回の提携を率直にどう評価しますか? 津田 YouTubeもニコニコ動画も、投稿される動画の大半は著作者の許諾を得ない「海賊版」ですよね。利用者の動画に対するニーズと、権利者の削除要請や法的圧力が完全に対立する中で、今回の契約締結を前提とした協議が開始されたことは、膠着する著作権問題を解決すべく第一歩を踏み出したという点で評価されるべきだと思います。 とはいっても、個人的には
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