東京大で検討されている授業料引き上げに対し、学内外で批判が広がっている。文京区の同大本郷キャンパスであった学園祭で19日、学生有志が反対の声を上げた。東大が引き上げに踏み切れば、他の国立大にも広がる可能性があるが、国際的にみても、日本の高等教育における家計負担の割合は高い。識者からは「国立大の使命を果たせなくなる」と懸念の声が上がる。(宮畑譲、中山洋子)
中央教育審議会(中教審)の特別部会臨時委員でもある伊藤公平・慶応義塾長が国立大の学費値上げを提案したことは、賛否両論を呼ぶ話題となった。果たしてその真意はどこにあったのか。伊藤氏に直接尋ねた。【聞き手・伊藤智永、井川加菜美】 関連記事あります。 公立大無償化で「地方が空洞化する」 国立大値上げ提言の慶応義塾長 学生1人あたり300万円以上は必要 Q 国立大の学費を150万円に引き上げるという提案が議論を呼びましたが、背景にある考えを聞かせてください。 A 中教審特別部会は、2040年以降の(大学などの)高等教育の在り方を議論するものだ。科学技術がさらに進み、AI(人工知能)がさらに大きな判断をするようになる中で、人間がその上を行き続ける学びを提供しなければ、高等教育機関として失格だと思う。ただツールを使うだけの人であれば、高等教育機関の存在意義はなくなる。 18歳人口の自然減に伴い、大学の
中央教育審議会の特別部会で国立大の学費を3倍の150万円に引き上げることを提案した伊藤公平・慶応義塾長が毎日新聞の取材に応じ、東京都や大阪府の公立大無償化について「税収の潤沢な自治体だけで進めば、地方が空洞化してしまう」と指摘した。経済的に困窮している世帯には奨学金や貸与制度の拡充で対応すべきだと主張し、「経済的にお金を払える受益者から取らないのは一種のダンピング(不当廉売)ではないか」と問題提起した。 伊藤塾長のインタビュー全文は以下のページでご覧いただけます。 「守りの姿勢では淘汰される」 慶応義塾長、国立大値上げ提案の真意 都は2024年度から都立大の授業料について、所得制限を撤廃して無償化した。大阪府は公立大無償化の所得制限を24年度から3年かけて撤廃する方…
北海道大の化学部門で、複数の教員が教授会による「追い出し行為」の被害を訴えている。その背景に、同部門が採用する「講座制」があると専門家はみる。 関連記事は、以下のリンクからお読みいただけます。 <前編>「まさか追い出し部屋に」北海道大准教授 <後編>北海道大の教授会が「内部基準」作成 <解説>北海道大の「旧スタッフ」冷遇、背景にある旧弊と財政難 ※記事へのご意見、情報を情報提供フォーム「つながる毎日新聞」にお寄せください。 日本の大学の講座制は明治時代に始まる。教授の専門分野の下、組織的に研究・教育を進めることが主な目的だった。 しかし、人事や予算などの権限が教授に集中し、硬直的で閉鎖的な運用を招いている、と指摘されるようになる。自由な発想の研究を妨げ、若手研究者が育ちにくい土壌になるとも批判された。広島大の北仲千里准教授によると、教員間のハラスメントは「教授独裁型」の権力構造に起因するこ
「旧スタッフ」の40代准教授の実験室。一緒に実験に取り組む同僚や学生は一人もいない=札幌市北区で鳥井真平撮影 「問題を把握しておきながら、見殺しにするんですか」。今年1月、40代の男性准教授は教授陣との面談の席で声を詰まらせた。 北海道大の関係者によると、教授が不在になった後に残った准教授や助教は、化学部門に在籍していても「旧スタッフ」「旧研究室スタッフ」と呼ばれるようになる。毎日新聞の調べでは、2021年度以降、少なくとも9人が旧スタッフとして扱われ、今年4月時点で4人が該当しているとみられる。 男性もその一人だ。23年度に続き24年度も学生の配属がなく、1人で研究を続けることが決まった。 関連記事は、以下のリンクからお読みいただけます。 <前編>「まさか追い出し部屋に」北海道大准教授 <後編>北海道大の教授会が「内部基準」作成 <解説>北海道大の「旧スタッフ」冷遇、背景にある旧弊と財政
大学の在り方について意見を交わした中央教育審議会の特別部会=2024年4月26日午後、オンライン会議システムの画面より 国立大の学費を年間150万円に――。文部科学相の諮問機関、中央教育審議会(中教審)での伊藤公平・慶応義塾長の発言が波紋を呼んでいる。国立大の学費を現在の標準額の53万5800円から約3倍に引き上げてはどうかという提案で、学費の高い私立大と国公立大の「公平な競争環境を整える」ことが目的という。実現すれば家計や学生の進路選択にも大きく影響するが、その真意はどこにあるのか。 「地方大つぶれる」「減免セットで」国立大学費値上げ提言に賛否 発端は今年3月、大学の在り方を議論する中教審の特別部会で伊藤氏が提出した資料にある。「国公私立大の設置形態に関わらず、大学教育の質を上げるためには公平な競争環境を整えることが必要」とあり、そのための方策として国立大の学費を150万円程度にすること
「教育研究の土台を壊す」―多くの大学関係者の反対を押し切って、自公政権が国立大学を法人化してから20年がたちました。懸念は現実のものとなり、「法人化は失敗した」という評価はメディアでも一致しています。失敗を検証し、大学政策を抜本的に転換することは急務です。 法人化は、小泉政権による「大学の構造改革」(2001年)の梃子(てこ)として打ち出されました。「経済再生のため…世界で勝てる大学をつくる」として、大企業などにより短期的に実用化できる研究成果を生み出す大学を重点的に育て、それ以外は切り捨てる「選択と集中」を推進しました。 ■研究の環境を破壊 国立大学は、人件費や光熱費などにあてる運営費交付金が20年間で1631億円(13%)削減され、大学外から調達する競争的資金に依存せざるを得なくなりました。資金獲得の書類作成に忙殺され、教育や研究のための時間は減っています。地方の国立大学は存続さえ危ぶ
図書館の利用などでマイナカードが必要になる――栃木県の宇都宮大が導入したシステムに対し、マイナンバーカードの使用を強制しているのではないかといった批判がSNS上で相次いだ。 批判を受け、大学は2023年6月14日、マイナンバーカードを取得していない人でも図書館の利用などができる磁気カードを貸し出していると、公式サイトに追記。広報室は6月15日、取得を強制するものではないとし、「誤解を生じる標記を行ったことを真摯に受け止めてHPは修正いたしました」と取材に説明した。 「利用する学生及び教職員の判断に任せております」 広報室への取材によれば、宇都宮大では、2021年4月からマイナンバーカードを学生証として利用するシステムを導入。磁気カードの貸出も同時期に始めた。 この件に関するツイッター投稿が話題になったのは23年6月13日だ。 20年度以前に入学した学生は、図書館の利用や授業時間外の建物への
教職員に罵声を浴びせて退職強要。寮に住む学生ら45人を提訴。突然の総長解任。パワハラの捏造――。国立大学の法人化や大学関連法の改正を背景に、全国の大学で耳を疑うような事件が頻発している。 疲弊する大学教員や学生の声を取材した『ルポ 大学崩壊』より、「はじめに」を公開する。 全国の大学関係者から「大学が壊れてしまった」と嘆く声が聞こえてくる。 「壊れてしまった」と訴える内容は、大学の根幹である教育と研究、大学の自治、それにコンプライアンスなど多岐にわたる。執行部が独裁的に運営する国立大学や、経営者があからさまに私腹を肥やす私立大学など、学生や教職員がないがしろにされている大学は明らかに増えている。端的に言えば、今、一部の人間による大学の「独裁化」と「私物化」が進んでいるのだ。 「独裁化」と「私物化」の流れに同調するかのように、教職員や学生への弾圧が強まっている大学や、教職員の大量解雇を強行し
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【読売新聞】 文部科学省は、国公私立大学の教員らが、複数の大学に在籍できるよう大学設置基準を緩和する方針を固めた。大学では、デジタルや脱炭素技術など新しい分野での人材育成が求められているが、高い専門性を持った教員が不足している。複数
国立大や公的研究機関に勤める有期雇用の研究者らが、契約を打ち切られる事例が相次いでいる。改正労働契約法施行(2013年4月)を起点とする雇用期間が来春で10年を迎え、これを過ぎた時点で雇用されている人は、無期雇用申請の権利を得られることが背景にあるとみられる。契約を更新せず権利取得を阻害する「雇い止め」は過去にもあった。識者は「制度の不備が放置されたままになっている」と指摘する。 「もう終わりだから」。福岡市の九州大に勤務する研究支援員の女性は今春、所属する研究室の教授に呼ばれ、来年3月末での契約終了を告げられた。「契約更新しない」と書かれた労働条件通知書を見せられ、内容に同意する「確認書」に署名を求められた。1年契約の更新を繰り返し、10年以上勤めてきた女性。来年4月には申請権を得られ、再来年からは契約期間のない無期雇用になれる、との期待は裏切られた。 ...
大学ファンドに関する緊急提言を発表する大学教員グループの大森不二雄・東北大教授(右)と小笠原正明・北海道大名誉教授=東京都千代田区で2022年8月22日午後4時3分、鳥井真平撮影 政府が創設した10兆円規模の大学支援策「大学ファンド」について、国公私立大学教員ら17人でつくる有志グループが22日、一部のトップ大学よりも全国の若手研究者を支援すべきだとする緊急提言を発表した。 提言では、巨額の投資自体は歓迎するとした上で、少数のトップ校だけを支援した場合、人材の流動性や研究の多様性が失われ、さらなる研究力の低下につながりかねないと指摘した。 まず博士課程の学生や安定的な若手教員のポスト増を優先的に支援し、残りでトップ校を支援することを主張。民間企業に就職した若手社員を博士課程の学生として大学院に派遣する制度の創設などを求めた。
Published 2022/08/19 10:00 (JST) Updated 2022/09/02 12:41 (JST) 京都大学がインターネット上に公開する講義動画の行方が揺れている。京大は動画の管理・運営を担ってきた高等教育研究開発推進センターの9月末での廃止を8月4日に公表し、約6300の講義・講演を動画配信するプラットフォーム(OCW)などを閉鎖するとした。しかし研究者の強い反発もあり、OCWについては「10月以降、運用する方策を学内の関係者と協議する」と6日後に表明した。状況は流動的だが、学内からは「コンテンツの蓄積を無にしないでほしい」との声が上がる。 同センターは、1994年にできた前身の組織を引き継ぐ形で2003年に設立。現在はOCWをはじめ、オンラインで講義や講演を学内外に公開する役割などを担っている。 05年に開設されたOCWでは、ノーベル賞受賞者の山中伸弥さんの
日本の研究力低下を打開しようと、世界に肩を並べる研究大学をつくるために政府が設置した10兆円規模の大学ファンドの支援校の要件を定める法案が、今国会で審議中だ。ただ支援校は一部の主要大学に限られ、収入を増やして成長することを求められるなどハードルも高く、大学関係者からは懸念の声も上がる。【池田知広、鳥井真平】 巨額の基金設立、政治も後押し 「国家基金が10兆円程度あると、ほとんどの国立の研究大学は救い出すことができる。ぜひ本気で考えるべきだ」。2019年10月にあった政府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の調査会。委員の安宅和人(あたか・かずと)・慶応大教授が熱弁をふるった。 データや人工知能(AI)の活用に詳しく、多くの公的機関の委員を歴任する安宅氏。この日挙げたのが、米ハーバード大など、独自にファンドを運用して潤沢な研究資金を得ている欧米の主要大学だ。一方、日本では、国立大学
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