東京藝術大学が130周年を迎えるのを機会に、今まであまり光が当てられてこなかった戦時下の芸術、特に戦没学生の作品に焦点を当てる。 美術学部の学生についてはかなり調査が進み、長野県上田市には「無言館」という戦没画学生の作品の展示施設も作られている。しかし音楽の場合は、美術と違って形に残らないという面もあり、調査解明が遅れている。それでも昨年、本学奏楽堂で、徴兵されフィリピンで自決した作曲科学生、村野弘二さんのオペラ「白狐」のアリアが演奏されるなど、少しずつではあるが注目を集めつつある。 本学では大学史史料室の橋本久美子学術研究員を中心に資料の調査、蒐集が行われており、この機会に戦没学生の作品を中心に、戦時下における芸術活動を演奏会とシンポジウムによって検証する。 シンポジウムでは、学術的に戦没学生を扱うことの意義と史料のアーカイブ化の重要性を確認し、コンサートでは、志半ばで戦地に赴かなければ