今の大学生たちは勉強をしない、まずは勉強させる環境づくりを進めよう、こんな議論が文部科学省の中央教育審議会で行われています。先行きの不透明な時代、社会に元気が出ないのは若者がしっかりしないせいだ。若者に矛先を向ける議論が盛んですが、そうした若者を育てる大人の役割とは何か、明治時代の大学黎明期を生きた一人の学者を通して、今の大学教育改革について考えます。 明治44年に開学した九州帝国大学の初代総長です。きのう、九州大学で創立百周年の記念式典に合わせて、胸像が披露されました。出身地の福島県会津若松市から寄贈されたものです。 山川健次郎は、幕末の会津に生まれ、東京帝国大学で日本人で初めての物理学の教授になり、日本の物理学の基礎を築きました。教え子には長岡半太郎などがいて、「天災は忘れたころにやってくる」の名言で知られる寺田寅彦は孫弟子、日本人初のノーベル賞学者湯川秀樹もその系譜にあたります。 山