国際通貨研究所 理事長 行天豊雄 欧州金融危機は発生してから既に三年経ったにもかかわらず一向に解決しません。世界経済への悪影響も次第に拡大しています。先週メキシコで開催されたG20サミットでも、各国から欧州に向けて焦立ちと早期解決を求める声が一段と高く上げられました。 そもそも三年前にギリシャが財政悪化で国債の利払いが難しくなった時、他の欧州諸国や米国は事態がこれ程重大になろうとは予想していませんでした。ギリシャはそのGDPが欧州全体の2%にもみたない小国ですし、当面の金繰りが付けばいずれ収束するだろうし、仮にギリシャ財政が破綻しても大したことにはなるまいとたかをくくっていたふしがあります。しかし実際には、ギリシャ危機はポルトガル、スペイン、イタリア等の南欧各国に飛び火し、欧米の金融界全体を揺がし、統一通貨ユーロの存続に警鐘をならし、世界全体の景気停滞をもたらすのではないかと怖れられるこ