何十年軍事ブロガーをやっていてもブロガー止まりの素人とプロの違いはこのあたりにあるようだ。素人は責任がないので無責任な言い切りができるが、専門家は発言に責任が問われるのであらゆる事態を想定するし、常に調査研究に励み知識を最新のもの… https://t.co/ZqerkL1gYZ
2017年、北朝鮮の軍事パレードに登場した潜水艦発射弾道ミサイル「北極星1号」(写真:ロイター/アフロ) 10月2日午前7時ごろ、北朝鮮が東部の元山から日本海に向けて1発の飛翔体を発射しました。弾道ミサイルと推定され、韓国軍の発表では水平距離450km、最大到達高度910kmの極端なロフテッド軌道(山なりの高い弾道)となっています。これを通常軌道で発射した場合の推定最大射程は2000km弱となり、日本まで届くがグアムまでは届かない準中距離弾道ミサイルとなります。つまりこれは日本の安全保障に対する直接の脅威となるミサイルです。 発射されたミサイルの種類は韓国軍の推定では潜水艦発射弾道ミサイル「北極星」と見られています。韓国軍だけでなく、事前の9月27日にアメリカの北朝鮮分析サイト「38ノース」が衛星写真の分析から北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイルの試験を準備中と警告しており、その通りになりました
サウジアラビアの石油施設が9月14日に攻撃を受けて炎上した事件について、イエメンの武装勢力フーシ派が自爆ドローンで行ったと犯行声明を出しました。しかしアメリカはイランが直接攻撃したと疑っており、緊張が高まっています。 そして9月18日、石油施設攻撃についてサウジアラビア国防省は巡航ミサイル7機と自爆ドローン18機の合わせて25機の飛翔体による攻撃だったと発表しました。現場に落ちていた巡航ミサイルと自爆ドローンの残骸を公開しましたが、それらは驚くべきものでした。 7月に発表されたばかりのイラン製新型巡航ミサイルと、今回初めて公開されたデルタ翼(三角翼)を持つ自爆ドローンだったのです。 巡航ミサイル「Quds-1」9月18日、サウジアラビア国防省発表より サウジアラビア国防省が9月18日に公開した青い色の細長い残骸は、イエメンのフーシ派が今年7月に発表したばかりの新型地対地巡航ミサイル「Qud
8月16日、北朝鮮の南東部にある江原道通川郡から2発の飛翔体が日本海に向かって発射されました。韓国軍の観測では水平距離230km、最大高度30km、最大速度マッハ6.1の短距離弾道ミサイルと推定されました。翌8月17日に北朝鮮は写真を公表。それは6日前の8月10日に初めて発射された北朝鮮の「新型兵器」と同じ物であり、アメリカのATACMSに酷似した短距離弾道ミサイルでした。 【関連】北朝鮮がATACMSに酷似した新型短距離弾道ミサイルを公開(2019年8月11日) 北朝鮮公式発表より「新型兵器」 北朝鮮版ATACMSは8月10日の発射の際には水平距離400km、最大高度48km、最大速度マッハ6.1と韓国軍によって観測されています。8月16日の発射がこれより射程が短いのは高度を更に低くした条件変更によるものでしょう。様々な発射条件を試して実戦配備に向けたデータを着実に取っています。 その飛
6月7日、アメリカのシャナハン国防長官代行はトルコがロシア製地対空ミサイルシステム「S-400」の購入を進めている問題に対して、NATOの防衛体制に亀裂を生じさせかねないと警告し、F-35戦闘機計画からトルコを排除する方針を表明しました。 トルコには既にF-35戦闘機4機が引き渡されアメリカで訓練中で11月にトルコに移動する予定でしたが、これが無くなります。アメリカでトルコ空軍パイロットにF-35操縦訓練を行っているプログラムは7月末に中止されることが宣告され、トルコのF-35関係者はアメリカから出国させられることになります。このままトルコがロシアからS-400購入を中止せず続行すれば、アメリカはF-35をトルコに渡しません。 アメリカが強硬な態度を取った理由は、トルコがロシア製S-400防空システムの目の前でF-35戦闘機を飛ばしてレーダー反射のステルス性能データを取った上でロシアに情報
5月28日、ポーランドのブワシュチャク国防相はアメリカにF-35A戦闘機32機の購入見積り依頼を提出したことをTwitterで明らかにしました。 和訳「第5世代戦闘機は既に登場しています。今日、我々のパートナーであるアメリカにF-35A戦闘機32機の購入および訓練と兵站に関する見積依頼(LOR)を提出しました。旧ソ連製の旧式装備を最新戦闘機に更新する時が来ました!」 出典:@mblaszczak ポーランドは旧ソ連製のSu-22戦闘機とMiG-29戦闘機をアメリカ製のF-35A戦闘機で更新する予定です。アメリカ政府は売却を許可する方向で、ポーランドが購入することに問題はありません。 ポーランド軍は装備を旧ソ連製からアメリカ製に置き換える方針を取っており、F-35Aの他にはパトリオット地対空ミサイルの購入も進めています。またNATOで管理するイージスアショアもポーランドで建設中ですが、ポーラ
2018年12月20日に発生した韓国海軍レーダー照射事件について、韓国側から駆逐艦「クァンゲトデワン(広開土大王)」と一緒に居た海洋警察庁の警備救難艦「5001 サンボンギョ(三峰号)」のレーダー波を誤認したのではないかという説が唱えられています。警備救難艦の水上捜索レーダー「シャープアイ」と駆逐艦の火器管制レーダー「STIR-180」の周波数が似ているというのが理由です(アメリカのIEEEの分類でXバンド、EUの分類でIバンド)。しかし稼働中は360度常時回転する捜索レーダーと常時回転を行わない火器管制レーダーでは電波の当たり方が全く違うので誤認は考えられません。この点の違いについては日本防衛省は既に図解で説明済みです。 韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について(平成30年12月28日 防衛省) 防衛省発表の「参考資料」より 360度常時回転する捜索レーダーは電波の当たり方が周
12月28日、防衛省は20日に日本海で発生した海上自衛隊P-1哨戒機への韓国海軍駆逐艦クァンゲト・デワンからの火器管制レーダー照射事件の動画を公開しました。 韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について:防衛省(平成30年12月28日) 驚いたのは韓国海軍の駆逐艦「クァンゲト・デワン(広開土大王)」とすぐ傍に居た韓国海洋警察の警備救難艦「サンボンギョ(三峰号)」は、彼らが捜索していた目的の北朝鮮の漂流漁船らしきものを既に発見しており搭載艇を出して回収中だと思われることです。(追記:自衛隊は「サンボンギョ」とカタカナ表記していますが韓国語の発音からは「サンボンホ」ないし「サムボンホ」がより正しいものとなります) ※WARSとはW+ARS(救難艦)で「沿岸警備隊の救難艦」を意味する艦種記号 これで「波が高かったので漂流漁船を捜索する為に水上捜索レーダーだけでなく対空用のMW-08三次元レ
米ミサイル防衛局と日本防衛装備庁の発表によると、2018年12月11日(日本時間)、ハワイ沖で実施された迎撃実験FTI-03「ステラーヴァヴェル」で日米共同開発中の弾道ミサイル防衛用迎撃ミサイル「SM-3ブロック2A」が迎撃実験に成功しました。今回はカウアイ島のイージスアショア実験施設からSM-3ブロック2Aが発射されています。標的ミサイルはC-17輸送機から空中投下された中距離弾道ミサイル標的でした。SM-3ブロック2A迎撃ミサイルは前回10月26日の実験成功に続き今回の成功により2連続で成功、通算5回中3回目の成功となります。 防衛装備庁:米国国防省による弾道ミサイル防衛用能力向上型迎撃ミサイルの発射試験について米ミサイル防衛局のFTI-03実験報告(英語)レイセオン社のFTI-03実験報告(英語) 今回のFTI-03実験ではSM-3ブロック2A迎撃ミサイルにとって3つの初成功が達成さ
20日に発生した海上自衛隊P-1哨戒機への韓国海軍駆逐艦からのレーダー照射について、日本と韓国の双方の主張が食い違ったままです。現在までの韓国側の公式な説明は「北朝鮮の遭難船を捜索するために水上レーダーの他に対空用のMW-08三次元レーダーを対水上モードで使用した。STIR-180火器管制レーダーは付属の光学カメラを日本の哨戒機に向けたが電波ビームは照射していない」というものです。日本側の主張は「哨戒機の収集した情報を詳細に分析し火器管制レーダーから照射されたと結論付けた」としています。 クァンゲト・デワン(広開土大王)級駆逐艦の搭載レーダーMW-08・・・捕捉追尾用の三次元レーダー。空中目標の高度も同時に測定できる。基本的には低空を飛ぶ目標への対空用だが、対水上モードもあり主砲の射撃管制も可能。稼働中は360度回転しながら全方位に電波を照射する。周波数はCバンド。STIR-180・・・火
原子力規制委員会の田中俊一委員長が6日、北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に付いて「(原発を狙うより)東京の真ん中に落とす」と発言しました。不謹慎だと批判されて発言は撤回されましたが、軍事的に見れば田中委員長の発言は全く正しいものです。 ・北朝鮮のノドン弾道ミサイルに建造物を狙える命中精度は無い ・核弾頭を持っているなら人口の密集している東京に落とす 弾道ミサイルとは一般的に命中精度の低い兵器です。一部に高精度な誘導機能を持つものもありますが、少なくとも北朝鮮が保有する日本攻撃用のノドン弾道ミサイルでは建造物を狙って当てるような命中精度は有りません。現状では「弾道ミサイルによる原発への攻撃」は全く無視して構いません。例え狙われても当たりようがなく、市民への心理的な圧迫を加える効果しか期待が出来ません。 そしてそもそもの話になりますが、私たちが北朝鮮の弾道ミサイルに警戒しているのは大量破壊兵器である
一部でまことしやかに唱えられている俗説に「弾道ミサイルに化学兵器を搭載することはできない、大気圏突入の熱で変性してしまう」というものがあります。結論から言えばこれは間違いです。 弾道ミサイル用の化学弾頭は既に実用化されている ロシア軍では冷戦期のソ連時代にスカッド弾道ミサイル用にVXを搭載した化学弾頭8Ф44Г-1 (8F44G-1)、トーチカ弾道ミサイル用にソマンを搭載した9Н123Г2-1(9N123G2-1)が実用化されています。 アメリカ軍ではMGR-1オネスト・ジョン大型ロケット弾とMGM-5コーポラル弾道ミサイル用にサリンを搭載した化学弾頭M190が知られており、これはクラスター式で内部に多数の子弾が詰め込まれ、その子弾の中に化学兵器であるサリンが入っています。 M190弾頭は大気圏突入時に断熱材によって熱から守られ、目標地点の上空でM139子弾をばら撒きます。ボール状のM13
4月15日、北朝鮮で故金日成主席生誕105年記念式典が行われ、軍事パレードで新型ICBMが登場しました。それはキャニスター(収納筒)に収められたもので、この事からコールドランチの固体燃料式であることが分かります。従来知られていた北朝鮮のICBMのKN-08やKN-14はミサイルを剥き出しに搭載したホットランチの液体燃料式であるのに比べて、着実に技術が進歩している事を見せ付けました。 コールドランチキャニスター(収納筒)の中にミサイルを入れ、圧縮ガスによって打ち上げて、空中で推進剤に点火して上昇する。ホットランチミサイルを剥き出しで搭載し、その場で推進剤に点火して上昇する。またパレードではSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の北極星1号(KN-11)のミサイル本体とこれを地上発射型に改造した北極星2号(KN-15)の自走発射機も登場。北極星もまたコールドランチの固体燃料式弾道ミサイルであり、北
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