第69回 北京五輪を“非難”― 米国の屈折した動き 国際問題評論家 古森 義久氏 2008年2月26日 8月の北京オリンピック開催に向けて、日本でも他の諸国でも関心が高まっているが、米国では最近、屈折した動きが起きている。 中国の人権弾圧を日ごろ非難する米国では、官民ともに中国の首都で開かれるオリンピック大会に対し、正面からは前向きな対応をみせてはいるが、中国当局の政治面での姿勢への反対から水面下や舞台脇では、抗議のメッセージを頻繁に発信しているのだ。政治面での留保をスポーツにも反映させる、あるいはスポーツの祭典を政治面での抗議に利用しようとするなどの動きもあり、古くて新しい命題の「政治とスポーツ」の錯綜した展開だともいえる。 それと同時に、中国での環境や衛生への懸念が米国側に特殊な措置をとらせる。米国が北京五輪に臨む態度にはなお暗い影やヒダが絶えていないのだといえる。この点では日本