昨年、大きな番狂わせが、起きていた。 圧勝が予想された自民党のベテランが、まさかの落選。しかも得票を前回の半分にまで減らす大敗だった。 破ったのは、同じ自民党から立った女性の新人。激しい同士討ちの結末だった。 落選したのは溝手顕正。 当選は、河井案里。いずれも自民党の候補だ。 定員2の広島選挙区は、長らく自民党と旧民主党系の候補が議席を分け合う状態が続き、直近の2回は自民党の候補が、2位の候補にダブルスコアを超える大差をつけていた。 今回も波静かな選挙と思われたやさきの去年暮れ、県連に衝撃が走る。 「広島なら2議席取れるだろう」 安倍総理大臣や菅官房長官ら政権幹部の意向をくんだ党本部から県連に対し、2人目を擁立することが打診されたのだ。 2人目として、白羽の矢がたったのは、県議会議員の河井案里だった。 彼女の夫は、衆議院広島3区選出で、安倍総理大臣に近いとされる河井克行・総裁外交特別補佐だ